知見生かし“勝手に”貢献

地域の脱炭素化や持続可能な開発目標(SDGs)活動を応援する人や企業の輪が広がっている。電力システムの解説動画を配信する“電力系ユーチューバー”が、ふるさと納税サイトを運営するIT企業のトラストバンク(東京都渋谷区)の目にとまり、自治体の脱炭素支援で協力する。若手エンジニアが参加する未来技術推進協会(東京都千代田区)は、地域企業による課題解決ビジネスを題材にSDGsを学ぶボードゲーム製作に取り組んでおり、京都市版が完成間近だ。(編集委員・松木喬)

ユーチューバーは棚瀬啓介さん。インフラ系企業に勤めながら動画チャンネル「勝手に電力2・0」を運営する。新電力やベンチャーの社長が出演するなど、個人活動の枠を超えてきた。

最近は国が策定した温室効果ガス排出ゼロ化の工程表を解説する“地域脱炭素ユーチューバー”としても活躍。賛同した新電力幹部ら21人がサポーターに就任した。また、地域に縁のある人とエネルギー問題を語る「富山脱炭素対談」も配信するなど連携の輪が広がっている。

トランスバンクとは28日、自治体職員らを対象とした脱炭素セミナーを開く。同社はふるさと納税でつながりがある自治体の脱炭素化に貢献したいと考えていた。棚瀬さんは「自治体職員が、再生可能エネルギーの調達などを勉強できる場を提供したい」と抱負を語る。

未来技術推進協会は企業に所属する若手エンジニアが起業などを支援する団体。技術で課題を解決してSDGsを疑似体験するボードゲームを開発し、高校や企業の研修で活用してもらってきた。

製作中の京都市版は、市内の企業や大学などに取材した96事例をゲーム内の課題解決策に採用した。日本酒造りで発生した酒かすを肥料にする酒蔵、汚れのある衣類を黒染めにして着用可能にする染屋、町家再生など京都らしい資源循環や地域活性化が登場する。

開発を担当する杉田博幸さんは「市民が京都の取り組みを学び、課題解決に参画意欲を持ってほしい」と語る。市もSDGsを啓発するが、杉田さんたちは地元を舞台としたゲームで市民に課題解決を身近に感じる機会にする。協会は神奈川県版、滋賀県版も製作しており、今後の地域版を増やす。

地域での脱炭素化やSDGs活動が迫られているが、地元の行政だけでは限界がある。一方で、自主的に地域支援に名乗りを上げる人や企業も存在する。ユーチューバーやIT企業など、多様な知見と意欲を持つ人や企業と地域との連携ができると、脱炭素やSDGsが進みそうだ。