容器持ち込み型の量り売り店「バルクショップ」が関西で相次いで開業した。IoT(モノのインターネット)を活用し洗剤から生鮮品まで扱うスーパーマーケットや、醸造したビールをタンクから直接持ち込み容器に詰めて販売するブルワリーなど、形態はさまざま。東京を中心に増えているバルクショップだが、環境意識の高まりを機に、関西でも注目が集まっている。(大阪・大川藍)

ゴミを出さないスーパー

7月末、京都御苑に程近い大通り沿いに、ゴミを出さないスーパー「斗々屋(ととや)」がオープンした。野菜や調味料、歯ブラシや洗剤など、店内の商品全てが使い捨て包装なしで購入でき、重量計算が必要なものはモーションセンサーを活用して簡便に量り買いできる。まん延防止等重点措置下でも近隣から途切れることなく客が来店するという。

斗々屋へ計量システムを提供する寺岡精工(東京都大田区)の寺岡和治会長は「海外でもここまでゼロウェイスト(ゴミを出さない)にコミットしたところはなく、世界最先端だ」と評価。同スーパーを運営する斗々屋(京都市上京区)の梅田温子社長は2―3年内に「関東圏へも一つ(同様のスーパーを)オープンさせたい」と話し、フランチャイズ化による全国展開も視野に入れる。

海洋プラスチックや気候変動など環境問題への関心が世界的に高まる中、日本でも2020年にレジ袋の有料化が始まった。ただ商品自体の個包装文化は依然として根強く、プラスチック包装なしで日常的な買い物をするのは難しい。日本人1人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は米国に次いで多く、回収されても7割が燃やされるなど現状ではほとんどリサイクルされていない。

ナッツや調味料、環境配慮

「fu tai(フウ タイ)」は6月、大阪・JR福島駅近くにオープンした

6月にナッツや調味料などを販売するバルクショップ「fu tai(フウ タイ)」を大阪・JR福島駅近くに立ち上げた杉山絵美さんもそうした現状へ問題意識を持つ一人だ。大手メーカーの新規事業担当者として宿泊施設運営を手がけるが、20年に海洋プラスチックの写真を目にしたのを機にゴミ削減へ興味を持ち、個人でショップを立ち上げた。本業の休日を利用した個人運営のため週に数回しか開店しないが、多い日では1日に15人程度が訪れるといい、「こんな店が欲しかったと言ってくださる人が多い」と手応えを感じている。

家庭で出来たてのビール

Grande Limiteの「泉佐野ブルーイング」ではビールの量り売りが楽しめる

量り売り体験を来店のきっかけにしようとする店もある。Grande Limite(京都市中京区)は20年に大阪府泉佐野市にビールの醸造所兼直売所「泉佐野ブルーイング」をオープン。出来たてのビールを持ち帰ってもらうため、21年6月にビールの量り売りサービスを始めた。コロナ禍で訪れる人はまばらだが、許校沿代表は「ステイホーム期間中もタンクから直接注いだフレッシュなビールを楽しんでほしい」と話す。

ロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)が消費者3000人を対象に行った3月のアンケートでは、ゴミ削減の取り組みとして「簡易包装の商品を選ぶ」と答えた人が5割にのぼるなど、消費者の環境意識は着実に高まっている。ゴミ削減に向けた根本的な取り組みは、商品やサービスそのものと同様に、消費者が企業を選ぶ重要な基準となりそうだ。