HIROTSUバイオサイエンス(東京都千代田区、広津崇亮社長)と大阪大学医学系研究科の石井秀始特任教授は6日、線虫の嗅覚を利用して膵(すい)がんの早期発見につながる技術を発表した。実用化済みのがんの有無を線虫で診断する技術を応用。早期発見が難しく、他のがん腫に比べ予後の悪い膵がんで感度80%、早期だけでも60%の感度が期待できる。2022年に膵がんを特定する診断サービスの開始を目指す。

膵がん患者と治療済みを含む膵がん陰性者の尿で実験した。がん患者とがん陰性者で尿に含まれる成分が違うことを利用する。線虫のいるシャーレに検査者の尿を添加すると、がん患者の尿にのみ線虫が集まる。高い感度に加え、陰性を正確に診断する特異度も80%を確保した。尿の採取のみで診断でき患者への負担が少なく、大規模装置が不要でコスト抑制もできる。

通常の線虫はがん腫の区別がつかないが、がん腫の特定技術を年内をめどに確立する。がん腫ごとににおいが違うことを利用し、においを受け取る遺伝子を操作し、膵がんにのみ反応しない線虫を開発する。通常の線虫でがんの有無を診断後、遺伝子組み換え線虫で膵がんであるかを推定する。操作する遺伝子次第で多くのがん腫で展開可能だが、特に早期診断の難しい膵がんに特化して始める。

HIROTSUバイオはがんの有無を線虫で診断する「N―NOSE」事業を20年11月に本格稼働。自動分析装置により年120万件の診断能力を確保している。現在まで企業や自治体を通じ、累計10万人が受診した。医療機関の導入希望も1000件を超え、物流網の構築により今秋中に提供を始める。個人からの持ち込みや集荷も強化している。