自動車各社が自動運転技術を活用したMaaS(乗り物のサービス化)の取り組みを加速している。日産自動車は、横浜市で自動運転車両による配車サービスの実証実験を21日に開始する。ホンダは9月中に栃木県でライドシェア(相乗り)サービスの事業化に向けた実証に乗り出す。同分野ではIT大手などとの協業を含めた取り組みも活発化する。各社は安全や収益性などの課題を克服し、実用化につなげる。(西沢亮)

日産はNTTドコモと、不測の事態に運転手が走行を支援する「レベル2」相当の自動運転技術を搭載した車両4台で実証実験する。配車ではドコモのオンデマンド交通システムを活用。乗客がスマートフォンの専用アプリケーション(応用ソフト)で、23の停留所の中から乗りたい所と降りたい所を指定すると、乗りたい所への車両到着予定時刻が通知され予約できる。

実証は10月30日まで実施し200人の利用者を見込む。土井三浩日産常務執行役員は「おそらく国内最大規模の運用になる。お客さまが安全をどう評価し、料金がいくらであれば利用したいかなど実用的な課題を探索する」と狙いを明かす。

ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)グループと共同で、宇都宮市などで実証実験を始める。特定の条件下での完全自動運転が可能な「レベル4」相当の電気自動車(EV)を活用。2022年から公道で試験する。20年代半ばに国内で自動運転車を活用したライドシェアサービスなどの事業化を目指す。

トヨタ自動車は開発中の自動走行型EV「eパレット」のMaaSを視野に入れる。東京五輪・パラリンピックの選手村では、レベル4相当の同車両が選手らの移動に使われた。静岡県裾野市で着工した次世代型実証都市「ウーブン・シティ」でも、eパレットや物流用モビリティーを走らせる計画だ。

自動運転車のMaaSをめぐっては、トヨタがソフトバンクと共同出資するモネ・テクノロジーズ(東京都千代田区)で事業化を進め、米オーロラ・イノベーションと提携。トヨタとホンダは中国のネット検索大手、百度(バイドゥ)が主導する自動運転技術の開発連合「アポロ計画」に参画する。日産と仏ルノーは米グーグル傘下の自動運転開発会社ウェイモと協業するなど、各社は異業種との連携を加速している。

自動運転技術の実用化で各社が最も重視するのは安全性の確保。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は安全な交通流を確保するためには「車、インフラ、歩行者の三位一体で運営される必要がある」と指摘する。また土井日産常務執行役員は同技術を活用したサービスの事業採算性について「人と物を一緒に運ぶなどいろいろなサービスを組み合わせていく努力が必要」と見る。

自動運転車のMaaSは、交通事故死の削減、少子高齢化などで存続が難しい公共交通機関の維持、買い物と組み合わせた新たなサービスの創出などが期待される。車各社は社会課題の解決や、サービスで稼ぐビジネスモデルの一つとして収益源に育てる。