自動車メーカーが、自動運転用の高精度地図の開発を活発化している。ホンダは自動運転技術を活用した移動サービス実用化のため、9月中に同地図の作成を始める。トヨタ自動車傘下のウーブン・プラネット・ホールディングス(HD、東京都中央区)は8月、同地図を手がける米カーメラを買収したと発表した。安全性が高く滑らかな自動運転を実現するためには、地図の善しあしも重要な要素となる。各社が知恵を絞る。(江上佑美子)

ホンダは米ゼネラルモーターズ(GM)と協業し、一定条件下で完全自動運転が可能な「レベル4」技術を用いた移動サービスを2020年代半ばに始める予定。これに先立ち独自の高精度地図を作る。22年に開始予定の公道での自動運転車両の技術実証などに用いる考えだ。

ホンダは3月、一定条件下で自動運転が可能な「レベル3」機能を持つ高級セダン「レジェンド」を発売した。このレジェンドには、ダイナミックマップ基盤(東京都中央区、DMP)が開発した高精度3次元地図データ(HDマップ)を採用した。

ホンダ子会社の本田技術研究所の波多野邦道先進技術研究所エグゼクティブチーフエンジニアは「目標とするサービスによって地図の精度や格納する情報を最適化する必要がある。(22年から公道で実施する)技術実証の目的とレベルを考えると(今回は)独自でやる方がスムーズ」と説明する。

DMPは国内の自動車メーカーなどの出資で設立され、センチメートルレベルのHDマップを提供している。国内の高速道路や自動車専用道の整備は完了しており、23年度には整備する対象を一般道に広げる。19年に買収した同業の米アッシャーの自動化ツールなどを活用し、「大幅な低価格化を実現」(吉村修一DMP副社長)する計画だ。

ウーブン・プラネットHD傘下のウーブン・アルファ(東京都中央区)は自動地図生成プラットフォーム(AMP)の高度化に取り組んでいる。買収したカーメラが持つ、地図更新やセンシングの知見を活用し、車線や道路標識などの変化点を、ほぼリアルタイムで地図上に反映できるようにする。

ウーブン・アルファは6月、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バスと、AMPの活用で合意した。商用車分野の高精度地図の課題の検証などを進める方針だ。

自動運転で用いる高精度地図には、道路標識などのデータのほか、車線の中心線や勾配など多くの情報を格納する。精度が上がれば、安全性向上とともに、滑らかな走行を実現でき、乗り心地も高まる。

一方、普及のためにはコスト低減も課題。低コストで優れた高精度地図を開発し運用するために、自動車メーカー同士や自動車メーカーとスタートアップが連携する動きが続きそうだ。