「Be better, together /より良い未来へ、ともに進もう。」をコンセプトとした東京2020オリンピック・パラリンピック。環境や多様性への配慮に加え、持続可能な社会を実現する日本の技術力もまた、世界に示すことができたのではないでしょうか。

日本の水素技術を世界に示す

オリンピックのスタートを彩った聖火リレー。聖火の燃料となったのは、次世代エネルギーとして注目されている水素でした。世界初となる水素トーチを製造した大豊精機(愛知県豊田市)は、自動車用量産部品の製造、販売を手がける会社です。開発リーダーのトヨタ自動車や多くの共同開発・部品提供会社とともに、オリンピックの開会式でも使用した水素トーチを製造しました。燃料となった水素は、福島県浪江町で太陽光発電によって製造されたもの。燃焼時に二酸化炭素を排出しないことに加え、その製造過程もクリーンな水素、そして桜をイメージした美しいデザインの水素トーチは、環境への配慮と日本の技術を世界に示しました。

宗教・国籍の壁を取り除く「食のバリアフリー」の実現

多くの海外選手や関係者が集まるオリパラ選手村。国や宗教による食の多様性に対応した企業があります。日乃本食産(兵庫県三田市)は栗、松茸、黒豆など丹波の特産一次農産物や、一次農産物を加工した商品の販売を行っています。料亭や百貨店などの国内市場に加え、ムスリム市場向けの販売拡大に取り組み、ハラール認証を受けた工場で、本格的なハラール食品を製造。百種類以上のハラール食を製造する日本で唯一の専用工場として、オリンピック選手村では、ハラール食の基準を満たしたスクランブルエッグとトマトソースを提供しました。

ハラール食の基準を満たしたスクランブルエッグ・トマトソース

「緑の力」で世界を元気に

多くのドラマの舞台となった新国立競技場。緑豊かな芝生がひときわ目立ちます。この天然芝を提供したのは、緑化ビジネスを展開するチュウブ(鳥取県琴浦町)。同社は、天然の砂で栽培された芝を使用した独自の張芝工法(Re-SOD(リソッド)工法)と、国内外で開発される新品種芝生を武器に、芝生の生産、販売、施工、管理、施設運営までをワンストップで提案する総合緑化企業です。オリンピックの開会式・閉会式は芝生がない状態で開催したため、会の終了後、翌日までに芝生を張り替えるなど、見えない所でも活躍しました。「緑の力」は日本だけでなく、オリンピックに参加した多くの国の選手を癒やし、元気にしたことと思います。

ローカルから世界へ挑戦

過去最多のメダルを獲得した日本。テレビではメダルの露出が多いですが、海外選手のツイッターなどでは、メダルケースにも注目が集まりました。実は東京2020のメダルケースは木製。製作したのは、デザイン性に優れた木製家具を製造販売する山上木工(北海道津別町)です。数値制御による高度な機械の力と高い加工技術を持つ職人の力を強みとする同社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のプロポーザルを勝ち抜き、メダルケース製作を受託。北海道産タモ材を使用し、日本では勝利を意味すると言われ東京2020オリンピックのシンボルカラーでもある藍色で、杢目(もくめ)が浮かぶ美しいデザインに仕上げました。

タモ材は堅い広葉樹で、天然素材のため同品質のものを多く作るには高度な加工技術が必要です。細かい仕上げは職人の手作業。蓋をスライドすると内蔵された磁石で固定され、そのままメダルのディスプレイも可能となっています。大舞台に向け努力を続けてきたアスリート達にふさわしい、精巧な木工技術と美しいデザインを持つ逸品です。

たくさんの感動を与えてくれたオリンピック・パラリンピック。主役であるアスリートたちの活躍の裏側で、数多くの中堅・中小企業が大会を支え、彩りを添えました。細部に込められた日本の技術や思い。そのストーリーが、多くの人に届くことを願います。

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