リアルな会場を設置せずオンラインのみで開催する「バーチャルオンリー型株主総会」を行う企業が出てきた。8月にはユーグレナが国内で初めて実施。今週はグリーや会計ソフトのfreee(フリー)によるバーチャルオンリー株主総会が開かれる。6月の改正産業競争力強化法の施行を受け、会場を定めないオンライン完結型での株主総会が開催可能になった。ただ通信遮断のリスクがあるため、この流れに続く企業が出てくるかは未知数だ。(高島里沙)

通信障害を不安視、普及未知数

28日に完全オンラインで株主総会を開催するのがグリーだ。万一のシステム障害に備え、システムや運営面などから対応策を用意する。どれくらいの時間を通信障害と判断するかや、自社のホームページで情報開示する内容などについて具体的なマニュアルを作成している。株主総会専用システムには、システム障害時にシステムごと切り替え可能な設計のブイキューブのシステムを利用。当日もブイキューブが専門スタッフを配置するなど対応に当たる。

8月末に実施し、国内初となったユーグレナの完全オンライン株主総会には、関西や中部地域などからの参加が増え、関東以外に住む株主の参加が約3分の1を占めた。場所の制約を受けないため関東から遠方に住む株主の参加ハードルは下がったといえる。

今後の動向について大和総研政策調査部の鈴木裕主席研究員は「バーチャルオンリー型は増えるにしても爆発的に増えるかは懐疑的」との見方を示す。「通信障害で株主総会の有効性が疑われることを企業が嫌うと、バーチャルオンリー総会はそれほど広がらないだろう」(鈴木氏)と指摘する。実際、株主総会が最も集中する6月も映像をライブ配信するだけで質問などができない「参加型」がほとんどだった。会場に出席した場合と同様にリアルタイムで質問や議決権行使ができる「出席型」の導入企業は20社以下にとどまった。

国土の広い米国では2000年にオンライン完結型が導入されているが、通信障害で株主総会の有効性が争われるような事態は起きていない。法律上も通信障害時のリスクは定められていないため「日本はリスクを心配しすぎる傾向があり、それがオンライン完結型の開催を妨げている」(鈴木氏)と分析する。

新興企業の開催事例が続くが、大手企業まで含めて広がるか。多くの企業は試行錯誤と様子見で、日本の株主総会のあり方を見定めるにはまだ時間が必要だ。