富士通は、サステナブル(持続可能)なモノづくりやデータ駆動型の経営、働き方改革など重点7領域を支える技術領域として、人工知能(AI)やセキュリティーなどに加え、新たにデジタル技術と人文社会科学を融合する「コンバージングテクノロジー」に取り組む。12日開幕した同社のグローバルイベント「アクティベートナウ2021」で、ヴィヴェック・マハジャン執行役員専務最高技術責任者(CTO)が明らかにした。

これまでは映像に映った人の動きから「その人が今、何をしているか」を認識する行動分析技術を開発してきた。コンバージングテクノロジーでは、もう一歩進めて行動科学分野の知見を融合させ、「人が次にどんな行動を行うか」を予測する「ヒューマンセンシング」へと広げる。

加えて「人と社会を丸ごと分析し、シミュレーションや予測を行う『ソーシャル・デジタルツイン』にも力を注ぐ」(マハジャン専務)。米カーネギーメロン大学(CMU)との共同研究を通じて、コンバージング技術の研究開発を加速する。

基調講演を行う時田富士通社長。サステナブルな未来の重要性を強調した

マハジャン専務は、古巣の米IBMでクラウド担当チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)を務めた実力者。7月に富士通へ移籍し、富士通研究所を含め、技術戦略全体を内外一体で統括している。ソフトウエア技術の強化に向けて、インドとイスラエルに研究開発拠点を設立することも明らかにした。

このほか、注力する技術領域として、量子コンピューティングについても言及。研究領域はハード・ソフト、アルゴリズム、アプリケーション(応用ソフト)など包括的に取り組むため、理化学研究所や東京大学、大阪大学、オランダのデルフト工科大学などと、それぞれ共同研究する意義を強調した。

アクティベートナウはオンライン形式で11月末まで配信する。エストニア元大統領のトーマス・ヘンドリク・イルヴェス氏をはじめ世界で活躍する第一人者が登壇する。

富士通の時田隆仁社長は基調講演で「気候変動など地球規模の社会課題は従来の延長線では通用せず、1社では解決しない。多様な強みを持つ皆さんとのつながり、サステナブルな未来を築くことが重要。これを『Uvance(ユーバンス)』という新たな事業ブランドの下で進める」と、社会課題の解決やデジタル変革(DX)の推進にあたり、富士通が提供する価値を世界に向けて発信した。

コンバージング技術などの研究開発強化を説明するマハジャンCTO
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