楽天グループは4月に社名を従来の「楽天」から変更した。社名変更は1999年以来22年ぶり。楽天グループ本体が引き続き主力の電子商取引(EC)事業を手がけつつ、金融、決済、通信事業は主要子会社に権限を移し、経営判断を迅速化する。同社がグループ内のシナジーを最大化させる司令塔となり、「エコシステム」と呼ぶ自社経済圏の拡大を目指す。

同社は事業領域の拡大に伴い、16年に社内カンパニー制度を導入。19年には楽天の下に多数の事業会社がぶら下がる形だった組織体制を金融、決済、通信の3部門に分けた。当初は祖業であるEC事業も分社化する予定だったが、最終的に本体に残した。19年で再編は完了していたが、社名変更でグループ経営の強化をあらためて示した。

三木谷浩史会長兼社長は資金調達の方針について「これまで親会社(である楽天)が集約的に行ってきたが、今後はさまざまな形が考えられる」と説明する。「特に金融ビジネスは成長資金も必要だ」と述べ、金融子会社のIPO(新規株式公開)の可能性も示唆する。

一方、「楽天は今や技術カンパニーとなった。一定の技術を獲得するためにM&A(合併・買収)は増えていくかもしれない」(三木谷会長兼社長)とも語る。

20年に本格参入した携帯通信事業では仮想化と呼ばれる通信技術を活用し、海外の通信事業者にも提供を始めた。海外展開の加速に向け、関連技術を持つ米イノアイや米アルティオスターを傘下に収めた。今後は買収によって技術力を取り込むことで海外事業を拡大するとみられる。

同社は携帯事業の基地局建設費が負担となり赤字が続く。一方で楽天モバイル契約者の19%が楽天グループの新規利用者だといい、自社経済圏の入り口としての役割は大きい。国内1億強の会員基盤を生かし、多様なサービスを連携させ、いかにグループ全体で利益を生めるかが問われる。