JFEホールディングス(HD)はコロナ禍からの鋼材需要持ち直しで、業績がV字回復している。2021年度からの中期経営計画は24年度に3200億円の連結事業利益、ROE(株主資本利益率)10%などの目標を掲げる。財務体質を改善・強化し、50年の脱炭素を達成するためにも安定した収益力の継続が課題といえる。

主力の鉄鋼は国内人口減やアジアなどの地産地消から余剰生産能力を絞り、4年間で1200億円のコストを削減する構造改革を断行中だ。創立以来の大転換期とあって、柿木厚司社長は収益の源泉を「量から質(鋼材トン当たり利益)へのシフト」と強調。中計で、20年度に赤字だった1トン当たり利益を、1万円にする目標を初めて設けた。

「鉄鋼業はボラティリティー(価格の変数度)が高く、収益の安定には質の追求が不可欠」と田中利弘専務執行役員は語る。これには「利益の絶対額だけでない目標は妥当」(尾崎慎一郎大和証券シニアアナリスト)と評価する向きが少なくない。

中計ではさらに、有利子負債がどの程度で返済できるかを示すEBITDA(事業利益と減価償却費などの合計)有利子負債倍率が3倍程度、成長性と安全性を表す負債資本倍率(D/Eレシオ)が70%程度との数値も打ち立てた。EBITDA有利子負債倍率はコロナ禍や日米摩擦などで過去2年間は6―8倍と悪化。21年度は目標の3倍をクリアする見通しだが、今後の事業環境の変化にも対応できるよう何より安定化が急務だ。

鋼材内需が減少する一方、脱炭素に取り組む。ただ、50年までの開発・実装には兆円単位の資金がかかるとも試算される。キャッシュの創出を含む財務基盤の強化は待ったなしの状況。粗鋼生産能力の適正化で採算を重視し、価格是正を進める。

やはりROE10%などの中計目標を掲げる日本製鉄について「回復ぶりが際立つ。JFEも似た方向性だが、集約できる設備、固定費の急速な引き下げには限界がある」(尾崎シニアアナリスト)のも確か。原料高騰の中で鋼材の需給環境は良く、価格支配力をどこまで勝ち取れるかが注目される。