鉄鋼3社は2021年度に新たな中期・中長期経営計画を始動した。余剰生産能力を絞り、高付加価値品の比率を引き上げる「量から質への転換」がテーマ。収益力を高め、50年に向けた脱炭素の取り組みを盤石にする。足元の鋼材需給は総じてタイトで、大口顧客向けのひも付き価格の是正が課題といえる。

鋼材販売単価で日本製鉄は21年度に前年度比35・9%増のトン当たり11万7000円を見込む。各社とも原材料高騰分を反映させるとともに、そもそもベースである「鋼材の付加価値を適切に評価していただく」(北野嘉久JFEスチール社長)活動を進めている。

その前提となるのが自助努力としての構造改革だ。日鉄は5年間の中長期計画で、粗鋼生産能力とグループ含む人員の2割削減を打ち出した。9月末に広島県呉市の全高炉と和歌山市の高炉1基を止め、25年春には茨城県鹿嶋市の1基を廃止し全国10基体制とする。

一方で国内設備投資2兆4000億円、事業投資6000億円などを計画。電動車時代で需要が根強い電磁鋼板の国内生産能力は現行1・5倍に増やす。インドなどで生産を増強し、タイの電炉会社買収などを推進する。

JFEスチールは23年9月末に川崎市川崎区の高炉を廃止して、7基体制を敷く。4年間で設備投資・事業投融資は総額1兆800億円予定している。

インド鉄鋼大手のJSWと変圧器向け電磁鋼板製造販売会社の設立を検討。22年度の基本合意を目指す。海外で加工を手がけるJFE商事も「世界首位の電磁鋼板流通加工体制」を実現する。

神戸製鋼所は粗鋼年産約630万トンで安定収益を確保できる体制を構築する。超高張力鋼板(超ハイテン)など高付加価値品の比率を半分超に高める。

各社は21年度連結業績でV字回復を見込む。コロナ禍から鋼材需要が持ち直し、一過性ながら原材料高騰に伴う在庫評価益が寄与する。好業績維持は生産コスト削減、実力損益の継続という両輪がカギを握る。