昭和電線ホールディングス(HD)は成果主義型の人事制度の導入を進めている。以前は年功序列だったが、役割と能力に応じて処遇を変える成果型に2020年4月に舵(かじ)を切った。21年4月に対象を60歳以降のシニアスタッフにも拡大。社員が年齢にかかわらず能力を磨き、変化やイノベーションを生み出す組織を実現できるかが試される。

従来の制度は「役割と報酬が合致していないという不満が若手を中心に蓄積しており、人材流出のリスクもあると考えた」と菅井幹夫人事総務統括部長は振り返る。新制度は役割と能力の複合評価で処遇(給与)を決定。「能力に連動して処遇も上がるイメージ」(菅井統括部長)だ。年功序列の縛りがなくなり、若手・中堅社員の登用を積極的に行えるようになった。

マネジメントやプロフェッショナルなど複数のコースも用意した。プロフェッショナルコースは専門知識・経験を有する研究員や技術者のための専門職コースだ。同コース向けに、執行役員と同等処遇の「フェロー」のポストも新設。部下のマネジメントをしなければ役員になれなかった従来の制度を改めた。

新制度への移行で社員の約半分が給与が上がる一方、残り半分は下がった。「ドラスチックな変化だが、入社動機で人事制度に触れる志望者が増えている」(同)と、プラス効果も実感している。

4月からは対象を60歳以降にも広げた。成果主義に基づかない従来の再雇用制度は継続しつつ、業績に応じて成果主義に基づいた報酬を支払うコースや副業を認める時短勤務のコースを新設した。「従来は一定の年齢で昇給が止まったり賃金が下がったりする将来が見えていたが、能力を高めれば未来は変わるというメッセージを伝えたかった」(同)という。

企業の成長にはイノベーションが欠かせない。新たな人事制度で生産性を高め、新たな事業や技術に関わる社員を増やし、成長につなげていく。