アサヒビールは酒を飲む人も飲まない人も互いに尊重しあえる社会を目指す「スマートドリンキング(スマドリ)」について、電通デジタルと共同出資会社を設立し、取り組みを加速する。スマドリは4月に稼働を始め、デジタルを活用した顧客理解やマーケティングを推進。酒を飲まない人へ、デジタルを活用してアプローチする。(高屋優理)

スマドリはアサヒビール本社内にオフィスを置き、アサヒから4人、電通デジタルから3人の社員を派遣してスタート。デジタル技術を活用し、酒を飲まない人の行動や心理などを分析し、商品やサービスの開発するほか、コミュニティーの創出なども目指す。

アサヒは2020年12月に「スマートドリンキング宣言」を策定し、21年3月にアルコール度数0・5%のビールテイスト飲料「ビアリー」を発売。アルコール度数1%以下の商品を「微アルコール」とし、新カテゴリーと位置付けて商品の拡充を進めてきた。

アサヒの微アルコール商品

ただ、ビアリーの販売動向についてアサヒの塩沢賢一社長は「お酒を飲まない4000万人を取り込む狙いで発売したが、購入者のほとんどは今までもお酒を飲んでる人だった」と述べ、これまでとは真逆の顧客アプローチに苦慮する現状を示唆した。

アサヒはスマートドリンキングの具体的な行動指標として、25年までにアルコール度数3・5%以下の商品構成比20%を目指すことを公表している。今後、目標達成のためには商品を拡充する必要がある。また、収益の確保も大前提となることから、新たな顧客層の獲得のため、スマドリを通じ、「お酒を飲まない人のインサイトをしっかり把握して知見をためたい」(塩沢社長)とした。

健康障がいや依存などアルコール問題の対策は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の健康分野でも目標の一つに含まれている。世界最大手のビールメーカーであるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブも25年末までに、ノンアルコールまたは低アルコールのビール製品を総販売量の20%以上に拡大する方針を示すなど、低アルコール化はグローバルの潮流だ。

国内ではサッポロビールがアサヒに追随し、アルコール度数0・7%の「The DRAFTY」を21年9月に発売。微アルコールのカテゴリーは広がりを見せている。

その一方で、サントリービールの西田英一郎社長は微アルコール商品の開発について「車を運転する人やお酒を絶対避けなければならない人がいる。微量でもアルコールが入っている商品と分けるべきと考えている」と述べ、新規参入には消極的な姿勢を見せた。

低アルコールだがゼロではない、という微アルコールの微妙な位置付けに、デジタル技術でどのような解が見つけられるのか、アサヒのチャレンジが続く。