「機器の調達から保守運用、免許申請を含めて丸ごと、当社がローカル5Gの構築を行う」―。通信建設大手のミライト(東京都江東区)の佐藤一夫フロンティアサービス推進本部担当部長は、第5世代通信(5G)をエリア限定で使うローカル5G関連事業の拡大に意欲を示す。

同社は2020年6月に、ローカル5Gの無線エリア設計・免許申請代行・設置工事の提供を開始。21年6月からは機器の提案やシステム設定、保守を加えた「ローカル5Gオールインワンパッケージ」を展開している。「まだローカル5G市場は黎明期で、先進企業のPoC(概念実証)などで活用されているのが実態だ。まず試しにやってみたい、という顧客のニーズに応える観点で(同パッケージを)用意した」(佐藤担当部長)。

また、検証施設の「ソリューション協創ラボ」を4月に東京都江東区で開設し、ミリ波の28ギガヘルツ帯(ギガは10億)の設備を置いた。5Gではsub6(サブシックス)と呼ばれる3・7ギガヘルツ帯や4・5ギガヘルツ帯も使われるが、ミリ波は、より高速・大容量での通信が可能だ。一方で電波の直進性が高く障害物に弱い特性があり、導入したい企業は使う場所や用途について入念な検討が求められる。

ミライトが同ラボを開いた狙いには、アプリケーション(応用ソフト)関連ビジネスの拡大もある。「5Gソリューションを提供したいパートナーの方に(ラボを)活用して頂き、協業ができれば、そういった商材の展示や顧客への提供をしていくことが可能ではないか」(同)とし、アプリに強い事業者との関係を深める考えだ。

ミライトの親会社であるミライト・ホールディングス(HD)は、近年、事業構造の転換を急いでいる。従来、NTTグループをはじめとする大手通信会社からの設備工事や保守の受託を主力としてきた。その中で培った無線関連の技術力を活用でき、新たな顧客の開拓も図れる新事業としてローカル5Gを位置付けている。

ただ、エクシオグループなど他の通信建設会社も収益源多様化を目指しており、ミライトが差別化できるかは課題となる。佐藤担当部長は「技術的には(競合の通信建設大手と)そんなに差異はないが、5Gやローカル5Gへの取り組みは先行していることを強みにしたい」と述べた。協業企業や見込み客の開拓を加速し、成功事例をどれだけ多く創出できるか試される。(編集委員・斎藤弘和)