大成建設は施工管理の高度化に向け、建設現場で取得したデータを分析・活用する手法を確立した。多変量解析や人工知能(AI)技術によって、建機や作業員の状況を把握。都市や山間部など多様な現場で、作業の進捗(しんちょく)や安全性の確認を可能にした各種アプリケーション(応用ソフト)を完成した。これらデータを基に施工方法を最適化し、生産性向上を目指す次段階(最適化、シミュレーション)に進める。まずは全国の現場に展開し、将来は外販も検討する。

大成建設が2020年にインフォキューブLAFLA(横浜市中区)と開発した「T―iDigital Field」の機能を拡張した。建機や作業員の位置情報をリアルタイムに地図化する機能をはじめ、資材とトラックの情報を連携させた品質管理やトンネルにおける作業員の安全性向上とサイクル工程の管理などの機能を加えたことで、あらゆる建設現場で利用できる体制が整った。

新たに加えた4機能はダムとトンネル、災害復旧の3現場で機能を検証し、効果を確認した。まず「リアルタイム位置情報地図化アプリ」は、ダムやシールド工法・山岳工法によるトンネル、鉄道・道路向け橋梁、海洋・河川工事など立地や通信環境が異なるあらゆる建設現場での利用に対応する。広大な作業エリア全域で、瞬時に建機と作業員の位置情報の把握・可視化を実現した。

また「大規模土工事施工進捗管理アプリ」では、資材ごとの状況を即時に追跡する仕組みを構築。これをダンプトラックなどの位置情報と組み合わせ、積み込みから運搬、荷下ろしまでをモニター上で管理できるようにした。工事関係者が施工状況を速やかに把握・共有することで、資材の運搬量を検討したり、運搬効率を引き上げるための作業見直しを促したりする効果も見込める。

一方、一般に穿孔(せんこう)から装薬・発破、ずり出し、アタリ取り、吹き付け、ロックボルト打設までのサイクルを繰り返すトンネル工事向けには「トンネル工事施工進捗管理アプリ」を開発した。建機の稼働状況のほか、作業に要した時間も直感的に把握できる。併せて作業員の位置や作業の経過時間も取得できるため、掘削面など危険な場所での作業状況や退避状況など安全管理の精度向上も期待される。

資材の積み込みから運搬、荷下ろしまでを可視化する

「T―iDigital Field」は建設現場で取得した膨大なデジタルデータを活用し、効率的な施工と安全管理を支援するシステム。大成建設は全球測位衛星システム(GNSS)やサイバーフィジカルシステム(CPS)を使い、これまでにタワークレーンの衝突防止や建機と作業員の接触を防止するアプリを開発してきた。