KMバイオは月内開始

新型コロナウイルスの国産ワクチンがようやく実現に向け動き出した。海外製品の国内製造となるが、武田薬品工業は米ノババックス製ワクチンを光工場(山口県光市)で製造し、順次出荷する。明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市北区)は不活化ワクチンの最終段階の臨床試験(治験)を月内に始め、2022年度内の実用化を目指す。第一三共や塩野義製薬、アンジェスでも国産ワクチンの開発が急ピッチで進む。(藤木信穂)

米ファイザー製、米モデルナ製、英アストラゼネカ製に続く、国内4種類目となる米ノババックス製ワクチンが19日に承認された。国内での生産と流通を担う武田薬品は、米ノババックス製の組み換えたんぱくワクチンの製造を始めた。武田薬品はこれまでモデルナ製の流通を担っていたが、コロナワクチンの製造は初めて。政府は1億5000万回分の供給を同社と契約しており、5月下旬にも全国へ配送される。

KMバイオが開発中の不活化ワクチンは、インフルエンザワクチンなどと同様に感染力を失わせた病原体を利用して作る。副反応が比較的少ないのが特徴。同社は40歳以下の成人を対象とした最終の試験のほか、新たに生後6カ月以上18歳未満を対象とする試験も始める。早ければ9月にも承認申請する。

現在、5―11歳のワクチン接種率が低く、かつ5歳未満の小児に接種できるワクチンがないことから、永里敏秋社長は「重症化のリスクが低い低年齢層向けでも、副反応が小さければ需要は見込める」と判断。年間1500万―2000万回分を生産することが可能な設備を5月に稼働する。

第一三共はファイザー製やモデルナ製と同様のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを開発中。現在、最終段階の試験を行っており、年内の承認と実用化が目標となる。組み換えたんぱくワクチンを開発する塩野義製薬は、5月から供給できる生産体制を整備。早期の承認を目指す。アンジェスはウイルスの遺伝情報を使うDNAワクチンを開発中で、現在、より効果の高い高用量製剤を用いた試験を進めている。

今国会ではワクチンや治療薬を迅速に承認する「緊急承認制度」が審議され、国産ワクチン開発の司令塔となる組織「SCARDA(スカーダ)」も発足した。足元では“ワクチン余り”も懸念されているが、長引くコロナ禍においてワクチンの国内での安定的な供給は欠かせない。