三菱重工業が事業構造の入れ替えを進めている。事業が多岐にわたるコングロマリット(複合企業)のため、過去から継続的に事業を売却してきた。反対に、成長が見込める事業を他社から買収するなど、注力分野には投資している。

2000年代以降、押出成形機や射出成形機、橋梁などの事業会社の株式を売却してきた。21年8月には、工作機械事業の三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)を日本電産に売却した。

一方で、14年に日立製作所と火力発電システム事業を統合し、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が発足した。16年にはフォークリフトのユニキャリアホールディングス(HD)を買収。自社のフォークリフト事業会社と統合し、17年に三菱ロジスネクストが発足した。MHPSは日立の全株式売却で20年に三菱パワーになり、三菱重工が21年10月に統合した。

最高財務責任者(CFO)を務める小沢寿人取締役常務執行役員は「当社がすべきか、他社に任せるかを意識している」と事業構造の考え方を説く。三菱重工工作機械の売却は、電気自動車(EV)関連を強化したい日本電産傘下に入るほうが、歯車機械などを生かせると判断したためだ。

一方で、国内市場が縮小する中、海外市場で成長が見込める分野には積極投資する。火力発電システムはその最たる例だ。元々強い事業だが、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた低炭素技術など競争力強化が必須になる。三菱パワーを統合したことで、業務効率化が見込める。

こうした優位性があり、成長が見込める事業に投資する一方、反対の状態の事業は売却対象になり得る。小沢氏は「売却は悪いことではない」としつつ、「買うより売る方が難しい」と吐露する。売却で所属先が変わる社員の感情への配慮など対処すべき課題は多い。それらに対応しつつ、冷静な経営判断ができるか問われる。