鹿島は、財務指標として当期純利益と株主資本利益率(ROE)10%目標を重視する。当期純利益は2016年度から4期連続で1000億円を上回ったが、20年度は985億円に減少。21年度予想は950億円で、現中期経営計画(21―23年度)の最終年度、23年度も厳しい受注競争の中で950億円超を目指す。高林宏隆執行役員は「わが社の付加価値と稼ぐ力を示す」と説明する。

建設の請負業は建材を必要に応じて調達し下請け業者とのネットワークがあれば資産はあまり必要ない。生産性向上に向けたデジタル技術を推進するため、投資を支える利益の確保が必須になっている。建設業の運営と資産の形成が変化した。

現中計のR&D投資は550億円。M&A(合併・買収)に目的を明確にした戦略的投資も600億円を見込む。高林氏は「大きな投資で各社が技術研究所を持ち、技術開発を競う」と説明。

その原資の獲得に一役を担うのが海外開発事業。米国の流通倉庫ビジネスで資金回収が想定を上回り、利益が上振れした。潤沢なキャッシュフローを背景に利益が見込める開発事業に継続投資する。現中計の投資計画は、前中計の約1・54倍の8000億円。うち8割の6400億円(売却による回収3600億円を含む)を国内外の開発事業に投じる。

「収益分配の観点から、高レベルの投資に対する成果が財務の視点から重要になった」(高林氏)という。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の八木亮アナリストは、「一定水準の投資から売却による資金回収、さらに再投資という回転投資型ビジネスで成果が出ている」と評価する。

また、配当性向を前中計の20―30%から30%目安に引き上げ、株主還元を積極化する。

一方、連結での22年3月期第3四半期末は自己資本が約9176億円で高い水準。有利子負債は3590億円で、負債資本倍率(DEレシオ)が約0・3%。ただ積極的な投資に有利子負債を活用するため一時的な負債の増加も想定する。