パナソニックホールディングス(HD)傘下の主要事業会社が、投資家向けに中長期戦略を示した。同社は4月1日から持ち株会社制に移行し、自主責任経営における競争力強化の戦略を追求。変化が著しい事業環境で各事業会社が独自の勝ち筋をどのように見いだすのか、市場は注視している。各社は成長戦略を堅実な姿勢で伝えたが、今後は重点施策を遂行してグループの業績向上につなげられるかが問われる。

今回、グループ8事業会社のうち、車載システム、電子部品、ソフトウエア、車載電池、家電・空調の5事業会社の社長が登壇し説明した。各社は2024年度までに目指す累積営業キャッシュフローなど中期経営指標や、長期的な投資計画などを開示。「50年に向け現時点の世界の二酸化炭素総排出量の約1%に当たる3億トン以上の削減に貢献する」というグループ目標に合わせ、それぞれ環境目標も公表した。

アナリストから各事業会社へは、投資の規模感と資金に対する考え方に関する質問が続いた。これに対し電気自動車(EV)向け車載電池を手がけるパナソニックエナジーは、需要が旺盛な円筒型電池の生産能力を「28年度に22年度比3―4倍に高める」(只信一生社長)方針を提示。ただ投資額については「全体の事業収益性などを見ながら判断する」(同)と明言を避けた。

パナHDは車載電池事業を戦略投資の対象としており、楠見雄規社長が「グループを挙げ投資する」と明言。それだけに市場の関心も高い。同じく戦略投資の対象である空質空調事業も、環境で先行する欧州で需要が旺盛なヒートポンプ式温水暖房機工場の能力増を見据える。

パナソニックコネクトは3年間で1500億円の投資を計画。同社は21年までに約8600億円を投じてサプライチェーン(供給網)効率化ソフトウエアの米ブルーヨンダー(BY)を買収済み。センシング技術で得た現場データをBYのプラットフォーム(基盤)とつなぐソリューション開発などで「顧客の経営の根幹に入り込み、離れることができないパートナーになる」(樋口泰行パナソニックコネクト社長)と強調した。

各事業会社が経営目標の一つで掲げているROIC(投下資本利益率)についても質問が相次いだ。24年度にROIC12%を掲げたパナソニックエナジーには、「生産能力を4倍にする中、投下資本に対する利益が3年間でそんなに高まるのかは甚だ疑問」(アナリスト)など厳しい質問も飛んだ。只信社長は同社で手がける産業・民生用電池の区分にも触れ「短期的にお金がいるものと長期で安定成長するものの二つで成長性と収益性のバランスをとる」とした。

良くも悪くも、初めての投資家説明会は手堅い印象。だがパナHDの業績は30年間停滞している。そこから抜け出せるか、各事業会社の真価が問われる。