三菱造船(横浜市西区、北村徹社長)は大型液化天然ガス(LNG)運搬船のエンジニアリング事業に乗り出す方針を明らかにした。韓国の造船所が席巻し中国勢が追い上げるメンブレン型(箱形タンク)LNG船に照準を絞る。設計図面の供与や一部の機器調達などを支援し、他の国内造船所で建造する。先進7カ国(G7)がロシア産エネルギーへの依存度引き下げに取り組む中、LNGサプライチェーン(供給網)も多様化。経済安全保障の一環として輸送を支えるLNG船の建造技術を国内に維持する重要性も高まる見通しだ。

三菱造船は三菱重工業の子会社で商船や特殊船、官公庁船などを手がける。2019年頃まで球形タンクのモス型LNG船を香焼工場(長崎市)で建造してきたが、同工場の新造船エリアを大島造船所(長崎県西海市)に譲渡することを決め、大型LNG船建造からは実質撤退。今治造船(愛媛県今治市)との共同出資のLNG船の設計・販売会社、MILNGカンパニー(東京都港区)も苦しい経営状況とみられる。

ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー情勢が激変し、コロナ禍の物流混乱に伴う海上輸送力不足なども加わり足元で大型LNG船の需要が拡大。現代重工業など韓国造船所が大量受注を獲得し、滬東中華造船など中国勢が猛追する。一方、日本では川崎重工業も19年に引き渡して以来、大型LNG船を建造していない。

目下の船価は上昇傾向で1隻2億ドル(約260億円)を超える水準とみられる。為替の円安を背景に日本勢の再参入余地が広がる。

三菱造船は積載容量20万立方メートル超の大型化を見据え、メンブレン型を有力視。建造シミュレーション技術などを使い効率的にプロジェクト進める方針。三菱重工グループのメンブレン型LNG船の建造実績は99年から04年にかけて受注した計8隻。09年に引き渡してから手を引いているが、防熱技術を持つフランス企業とは情報交換を継続してきた。

三菱造船は並行してMILNGカンパニーの業容拡大を検討する。LNG燃料の船舶やクリーンエネルギーに関連した次世代船のエンジ事業などを業務に加えたい考えだ。