米国市場で自動車の販売が伸び悩んでいる。日系乗用車メーカー4社合計の5月の米新車販売台数は、前年同月比40・3%減の約31万台と、10カ月連続で減少した。受注残を抱えるなど需要は旺盛だが、半導体など部品不足に伴う生産制約が響く。日系各社にとって北米事業は利益の柱となる。全社が2023年3月期に北米市場で販売増加を見込んでおり、新車の安定供給が業績を左右する局面が続きそうだ。(西沢亮)

「大ざっぱに言うと半導体不足。先は読めない」。ある日系車メーカー幹部は米国市場で販売が低迷する要因をこう指摘する。

米国の5月の新車販売は、トヨタ自動車が前年同月比27・3%減、ホンダが同57・3%減と10カ月連続、SUBARU(スバル)は同24・8%減と12カ月連続、マツダは同63・7%減と2カ月連続で減少した。4社合計の減少幅も4月の同27・5%減、3月の同24・3%減と拡大傾向が続く。

半導体はメーカー各社の能力増強で前期と比べ供給量は増えるが、車各社の旺盛な需要が上回り、半導体の需給逼迫(ひっぱく)が継続。中国の都市封鎖(ロックダウン)に伴う供給網の混乱で、中国以外の工場でも生産調整を強いられるなど、米国向けを含め世界で車の供給が低迷している。

中でも日系車メーカー各社にとって米国事業が業績に与える影響は大きい。スズキを除く日系車5社合計の22年3月期の北米事業の営業利益は、前期比50%増の約1兆5000億円。営業利益全体に占める割合は約35%だった。

全営業利益に占める北米事業の割合をメーカー別に見ると、トヨタが18・9%、三菱自動車が27・6%、ホンダが57・5%。一方、スバルと日産自動車は全体を上回る営業利益を北米事業で稼いでいる。

スズキを除く6社合計の22年3月期の北米販売台数は、前期比2・8%減の約601万台だった。実売価格の上昇や奨励金の抑制といった販売面の収益性改善が、販売台数の減少を補い利益を押し上げた。

23年3月期の北米販売見通しは6社合計で同8・6%増の約653万台と、全社が販売の増加を計画する。中でもスバルは同24・0%増の約69万台、マツダは同10・0%増の約48万台と2ケタ増を見込む。

野村証券の桾本将隆アナリストらは3日付のリポートで、「夏以降は中国ロックダウンや半導体不足に伴う生産制約が縮小し、生産は大幅に改善する」と予想。業績については「大幅な増産や為替の円安の好影響が原料高の悪影響を上回る」との見通しを示している。