日産自動車にとって初の軽自動車の電気自動車(EV)となる「サクラ」では、軽の常識をはるかに超えることを開発コンセプトに掲げた。日産にはEVや独自のハイブリッド技術「eパワー」で培ったモーター駆動車の開発ノウハウがあり、軽EVの車両性能向上には自信があった。

モーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを出せるが、それを制御しなければモーターの特性をうまく発揮できない。エンジン排気量が限られる軽では走行性能に物足りなさを感じるお客さまも多かった。サクラでは最大トルクがターボエンジンを搭載した軽の約2倍となる195ニュートンメートルのモーターを採用。これまで蓄積してきた高度な制御技術ですばやく力強い走りに仕上げ、従来の軽では味わえない余裕のある走行性能を実現した。

もう一つのコンセプトがお求め安い価格での提供だ。EVは電動パワートレーン(駆動装置)にコストがかかる。電池ではEV「リーフ」の開発から継続する費用低減のノウハウを取り入れた。軽EVを共同開発した三菱自動車とも連携し、両社の登録車に搭載しているモーターやインバーターなどを共用。開発投資を抑えながら量産効果を最大化してコストを抑えた。

一方、インストルメントパネルには広範にファブリックを採用し、従来の軽とは異なる高級感を演出した。ただ生地を張る工程は難しく、設計、生産、サプライヤーと連携。知恵を出し合ってこだわりを実現するなど、お金をかけるところと、かけないところのメリハリを意識し、国の補助金を活用した実質購入価格約180万円台からを実現した。

軽EVの商品企画は2015年に始めた。19年発売の軽「デイズ」との車台の共用や、電池容量20キロワット時、航続距離180キロメートルといった仕様を当初から想定。三菱自の軽EV「アイ・ミーブ」の経験が大きかった。発表から約3週間で両社合計約1万5000台の受注は素直にうれしい。乗っていただければサクラの良さを実感いただけると自負しており、試乗が本格化する今後に期待したい。

【記者の目/開発陣の意地 販売後押し】

サクラでは高速道路での前方車の自動追従などが可能な運転支援技術「プロパイロット」を搭載。日産自動車として初めて軽に搭載した自動車駐車機能では、リーフと同じシステムを採用してコストを抑えた。価格競争力が求められる軽EVで、コスト上昇要因となる運転支援装備の充実は開発陣の意地とも言え、販売を後押ししそうだ。(西沢亮)

◇サクラ(Gグレード)

全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm

車両総重量=1300kg

乗車定員=4人

駆動用バッテリー=リチウムイオン電池(総電圧350V、総電力量20kW時)

最高出力=47kW

最大トルク=195Nm

1充電走行距離(WLTCモード)=180km

価格=294万300円(消費税込み)