パナソニックコネクトが進める物流現場改善プロジェクトが一定の成果を得て次のステージに移る。同社は2018年1月に稼働した、カメラやプロジェクターなどの修理部品約8万品番を扱う物流拠点において、19年8月―20年7月の年間コストを18年8月―19年7月に比べ10・8%削減した。最新の現場課題可視化ツールや、センシング技術などの導入が寄与した。事業スキームは今後詰めるが、顧客に訴求しながら市場調査を進め、外販を目指す。(大阪・大原佑美子)

「実績が出て効果があるのは分かった。市場性や提供の仕方の検討を進めたい」―。6月中旬、物流拠点の彩都パーツセンター(大阪府茨木市)で現場最適化ソリューション事業のエバンジェリストを務める一力知一(いちりき・ともかず)エグゼクティブコンサルタントは強調した。

サプライチェーン(供給網)最適化ソフトウエアを手がける米ブルーヨンダーのシステムにつなげることを視野に、同拠点では物流現場のプロセス改善に注力。世界25カ国への部品供給拠点であると同時に、顧客に提案するためのショーケースにも位置付けている。

同拠点では四つの技術を運用中。人・設備の稼働・作業状況といったセンシングデータから、現場のボトルネックを可視化する「ダッシュボード」、自己位置推定技術「V―SLAM」、人工知能(AI)画像処理、コンテナ内の充填率を数値化する「積載量可視化」技術だ。これらを運用し、課題の設定、センシングによるデータ取得、自動解析、最適化のサイクルを繰り返すことで、あるべき姿に近づけていく。

AI画像処理により、コンテナから箱を取り出したり部品バーコードを読み取ったりする作業を識別する

倉庫業務では、ピッキング作業が全体のボトルネックになる例が多い。パナソニックコネクトはV―SLAMと培ったセンシング技術を組み合わせ、全地球測位システム(GPS)が利用できない屋内倉庫内でもピッキングカートの動き回りを把握できる画像解析技術を導入。自動倉庫ではAI画像処理を活用し、作業者がコンテナから箱を取り出す、バーコードを読み取るなどの作業を分解して即時に識別する。これにより作業・歩行ロスの削減と作業間の同期が可能でムダを省ける。

一力氏は、物流業務の標準化や最適化が進んでこなかった背景を「(データで)良いか悪いか現場の実態を表すことができなかった」と指摘する。そこで同社は「何のデータを使えばどういう情報に変換できるかに取り組んだ」。さらに、モノづくりに裏打ちされたインダストリアルエンジニアリング技術によって、AIに多くの教師データを学習させることなどで良しあしの判断の精度を上げてきた。同拠点で改善を続けるソリューションの「簡素化したものを商品化する過程に移る予定」(一力氏)だ。

ブルーヨンダーの、トラックの最適配送計画ソリューションなどとの融合も視野に入れ、ビジネスの可能性を探る。日立製作所も、データから顧客の経営課題解決にアプローチする「ルマーダ」の研究開発、人材育成などに3年間で2000億円を投じるなど、データを活用した事業を強化している。技術革新が著しいデータ分析分野で、パナソニックコネクトが存在感を高められるか試される。