日本触媒は高吸水性樹脂(SAP)の世界シェアで首位に立つ。だがSAPや酸化エチレンなど「マテリアルズ事業」は市況変動の影響を受けやすく、競争も激化。成長余地や収益性で壁に突き当たる。そのため環境触媒や特殊モノマーなど「ソリューションズ事業」拡大を目指しているが過去10年間、両事業のバランスに大きな変化が見られないのも事実だ。経営目標として掲げるROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)の向上には、事業構造の変革は避けられない。

2025年3月期までの3カ年の現中期経営計画でROEで22年3月期推定比0・9ポイント増の7・5%、ROAで同0・5%増の6・9%という目標値を設定している。野田和宏取締役常務執行役員経営企画本部担当は「まず営業利益をどれだけ伸ばすかが重要で、そうすればROEやROAは伸びてくる」と説明する。営業利益は現中計最終年度の25年3月期に、過去最高の330億円を目指す。

稼ぐ力を強化するため現中計の3カ年で計1200億円の投資を計画。うち300億円近くはリチウムイオン電池用電解質「イオネル」に使う見込み。これら成長市場の電池用材料に加え、中分子原薬やアルカリ水電解用セパレーターなどの事業も育成し、31年3月期にはROE、ROAとも9%以上へと大きく飛躍させる計画だ。

マテリアルズ事業は生産性向上や製品の付加価値向上を急ぐ。SAPは既存プラントの改造を18年から進め、22年に世界で完了予定。生産性を約10%向上させる。また原料のバイオマス化やリサイクルの取り組みを推し進め「付加価値を認めてもらえる製品を投入する」(野田取締役)計画だ。

マテリアルズ事業は現在、売上高の約70%を占めるが、31年3月期までに「同事業とソリューションズ事業の売り上げ構成を半分ずつにできるかが焦点」(同)。ゴールドマン・サックス証券は新中計を「マテリアルズ事業の抜本的な立て直しと収益性の高いソリューションズ事業の拡大という事業変革に主眼が置かれた内容はポジティブとの第一印象」と評価する。