ラピュタロボティクス(東京都江東区、モーハナラージャ・ガジャン最高経営責任者〈CEO〉)は、自律移動ロボット(AMR)の開発を中心に物流倉庫の自動化に取り組んでいる。複数のロボットを制御する「群制御AI(人工知能)」や制約がある中で最適解を生み出す「エキスパートシステム」により、柔軟で効率的なロボットの運用につなげている。

同社のAMR「ラピュタPA―AMR」は、物流倉庫の省人化を目的として2020年7月に商用化した。通常、ピッキングする商品のオーダーを受け従業員がカートを引いて目的の商品棚まで歩く。1日8時間の業務時間中に歩く距離は20キロメートルにも上る。

同社のシステムは、従業員を一定のエリアに配置し、AMRが商品のある場所へ自発的に移動する。従業員がAMRの指示を受けて商品をピッキングし、AMRが商品を運搬する。ピッカー1人につき2―3台を導入すると1時間当たりのピッキング数が約2倍に増え、従業員の歩く距離を半減できるという。 低コストかつ導入時に現場の稼働を止める必要がなく、万が一システムが停止しても人がいるため物流が止まる事態を避けられる。

日本の物流が最も重視することは作業の効率化。これを可能にするのが、同社が提供するクラウドロボティクスプラットフォームのコア技術「群制御AI」だ。複数のロボット(AMRなど)が同じエリアで効率的に稼働する。

また、複数の異なる種類のロボットの円滑な稼働にも対応する。これには特定の事象について専門家のように推論や判断ができる人工知能「エキスパートシステム」が重要だ。

例えば、倉庫内でAMRとフォークリフト、ロボットアームを用いる場合、完了すべき仕事や各機器のケイパビリティー(能力)、ロボット間の安全な距離などの条件を教えると、各ロボットが仕事の達成に向けて自分で考えて行動するという。「現在の社会と同じで、不確定な要素が多い中、ロボットも自分で考え行動する柔軟性が必要だ」とガジャンCEOは説明する。

課題は人やロボットとの関わり合いにある。不確定要素が多く行動の想定がしきれない人間と、AMRが同じ場所で協働するのは難しい。現状20―30台での協働はできるが、100台ほどの大規模な稼働の場合は作業環境を人と隔てなければならないという。

同社のAMRは21年12月末時点で100台以上の導入実績がある。「22年は1000台が目標」(ガジャンCEO)と意欲的だ。