三菱ふそうトラック・バスが電気自動車(EV)トラックの試験・開発設備を増強している。開発拠点の喜連川研究所(栃木県さくら市)では設備をディーゼルエンジン車からEVなど電動車向けに徐々に重心を移していく。気候変動に対して具体的な対策を迫られる企業などからはEVトラックの引き合いが高まる。三菱ふそうは競合に先駆けてEVトラックを量産した実績を訴えると同時に、試験設備を充実させて開発効率を引き上げる。

喜連川研究所にある「バッテリー分解室」の装置

試験棟内にある車載電池の分解室。EVにとって電池は航続距離を左右する重要部品。使用後の状態を解析するには電池の分解が不可欠だ。変化を確認して電池メーカーにフィードバックする。

作業中は電池が発熱する恐れがある。万が一の場合に備えて、電池を載せる台は“沈む”構造だ。水槽状態にして、冷水に浸せるようにする。

この装置は三菱ふそう独自のもので、3月から使い始めた。車載電池の分解は従来、外部の協力会社に委託していた。しかし、開発効率を高めるために内部で実施するようにした。

三菱ふそうは2017年、国内初の量産型小型EVトラック「eキャンター」を投入した。3月時点で同トラックの納車実績は350台以上。同社はカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応として、39年までに国内で販売する全新型車両を電動車にする方針だ。

「電動化の波を受けて新たな設備を入れていった」と話すのは、開発本部長の安藤寛信副社長。電池の分解室のほか、高電圧のEVに対応した試験設備、最新の高出力の急速充電器などを備えて開発体制を強化している。

今後はEVトラックの開発競争が激しくなりそうだ。いすゞ自動車や日野自動車も22年度にEVトラックの量産を始める予定だ。三菱ふそうは次世代モデルのeキャンターを数年内に発売する。同社は脱炭素社会に向けた動きに呼応して、車両サイズなどでラインアップを拡充して需要を取り込みたい考え。