日清紡ブレーキ(東京都中央区、石井靖二社長)は、自動車走行時のブレーキ摩擦材の状態データを取得し、製品開発に生かす。今後、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の高性能化を踏まえ、必要となる摩擦材ニーズも変化が見込まれる。ただ、走行中のブレーキの状態に関するデータは少なく、リアルタイムでの取得は容易ではなかった。このほど同社の旭テストコース(千葉県旭市)にローカル第5世代通信(5G)システムを整備。今秋からデータの蓄積を始める。

EVやHVはエンジン車に比べ静音性が高いほか、バッテリー重量の負荷が大きい、回生ブレーキが加わるといった特徴がある。今後も技術の進化に伴い、求められるブレーキの性能要件も変化していく。これに摩擦材が対応するためには、基礎となるデータ拡充が不可欠。走行中のブレーキの状態データを加えることで摩擦材の高付加価値化を進める狙いがある。

日清紡ブレーキは技術開発フィールドである旭テストコースに4・8ギガ―4・9ギガヘルツ帯の5Gシステムを、グループ企業の日本無線により構築した。走行中のブレーキの音や振動、温度といった詳細データをリアルタイムに取得し、遠隔の技術開発拠点(群馬県館林市)と共有しデータ解析を行う計画。システム実証などを経て運用を開始する。

日清紡ブレーキは自動車用ブレーキ摩擦材の世界大手。ただこれまでブレーキ関連の走行中の状態データはそろっていなかったという。石井社長は「リアルタイムのデータを蓄積して、摩擦材の付加価値開発につなげたい。また開発品の実走行での不具合などの分析もできる」と期待を寄せる。