蘭デルフト工科大学と独ミュンヘン工科大学などの研究チームは液体中のイオン流動で駆動するナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの微小モーターの作製に初めて成功した。生体DNA(デオキシリボ核酸)を構成する分子の自己組織化を使って構造を作り上げた。微小領域で作業を行わせるナノロボットの基盤技術となる可能性があるという。成果は英科学誌ネイチャー・フィジクスに掲載された。

DNAオリガミの手法により、電界をかけながらDNA分子の自己組織化を利用して、太さが7ナノメートルのねじれた形状のローター(回転子)を作成。その中央に作ったピンのような出っ張りを、薄膜に開けた小さな穴(ナノポア)にドッキングする構造にしたところ、毎秒最大20回転で一方向に持続的に回転したという。

薄膜の両側での塩濃度の違いからナノポアを通って流れるイオン流動が起こり、そのエネルギーを利用してローターを回転させる。イオン流動は細胞のエネルギー合成や推進に使われ、生体中に豊富に存在するため、ナノロボットの駆動エネルギーとなり得る。さらに左手と右手の関係にある鏡像異性体のナノローターを作れば、時計回り、反時計回りに回転させられるという。