確定拠出年金(DC)専業の損保ジャパンDC証券(東京都新宿区、村木正大社長)は、2022年度中に加入者向けに無償で提供する企業型DC運用アプリケーション「つみたてナビ」の登録者を現状比3割増の8万人に増やす。企業型DCの加入者の中には、自分で商品を選ばずに自動的に元本確保型商品に設定される場合が多い。アプリの利用者は積極的に商品を選ぶ人が多いとみて、同社はセミナーでの呼びかけやキャンペーンを展開しながら一段と登録を促す。(大城麻木乃)

損保ジャパンDC証券は、企業型DCの受託順位で国内8位(評価資産額別)の実績を持つ。加入企業数は約1900社、加入者数は約30万人で、現状は加入者の約2割がアプリを利用している。新規の加入者には営業の段階からアプリと商品をセットで提案し、既存の加入者にはセミナーなどでの説明を増やして登録を増やす。8月時点の登録者数は約6万人。

同社のアプリは、人工知能(AI)搭載のロボアドバイザーが加入者のリスク許容度に応じて適切な運用商品を提案するのが特徴。ハイリスク・ハイリターンやローリスク・ローリターンなどリスク選好度合いで提案商品が変わる。

2020年11月に提供を始め、アプリの提供前は運用商品を選んだことがある加入者(運用指図の経験者)の割合は5割と、残り5割の人はほぼ放置した状態だったという。これに対し、直近の調査ではつみたてナビの利用者は運用指図の経験者が約9割に達したとしている。

アプリの利用者は、低利回りの元本確保型商品よりも相対的に利回りの高い投資信託を選ぶ割合も高いという。毎月の掛け金の配分内訳を見ると、アプリの利用者の場合、投信比率が約8割と、利用していない人の約5割と比べ、投信比率が高かった。同社は「ロボアドによる運用商品の提案が投信比率を引き上げた」と捉える。

利回りの高い商品を選ぶと、加入者が将来受け取る金額も増え、老後の資産形成を拡大できる可能性が高まる。損保ジャパンDC証券にとっても投信の割合が増えると預かり資産残高が増え、信託報酬が潤う利点が見込める。

ロボアド活用のアプリは、他の金融機関では有償か特定の顧客企業だけにカスタマイズして提供することが多く、すべての加入者に無償で提供するケースは珍しい。損保ジャパンDC証券は加入者の登録を増やすと同時に、アプリを武器にDCの顧客企業を増やし、収益拡大を狙う。