プログラミングの知識がなくてもアプリケーションを手軽に作れる「ノーコード」開発の普及促進を図る「ノーコード推進協会(NCPA)」がこのほど設立された。発起人はノーコード対応のソフトウエアやサービスを提供するアステリアやサイボウズなどITベンダー7社。事業拡大に向けた連携が目的だが、日本の社会課題であるIT人材の不足やデジタル化の遅れなどに一石を投じる試みとしても注目される。(編集委員・斉藤実)

NCPAはセミナーをはじめとする啓蒙活動や、ワーキンググループによる情報共有・発信などを主な活動とし、ユーザー企業も含めて広く参加を募る。まずは2022年末までに30社の加盟を目指す。

NCPAの代表理事にはアステリアの中山五輪男最高変革責任者(CXO)、副代表理事にはサイボウズの青野慶久社長と日本DX推進協会の森戸裕一代表理事が就任。発起人の7社は中堅ながらもIT業界では老舗で、顔ぶれを見るだけでもNCPAが目指す方向性と意気込みが分かる。設立会見に寄せて、デジタル庁の村上敬亮統括官が「ノーコードは重要なアプローチとして推進したい」とコメントしたことも興味深い。

ノーコード開発は必要な機能をソフトウエア部品として用意することで、プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できる。かつてはセキュリティー問題なども指摘されていたが、時を経て技術が成熟し、クラウドやスマートフォンの普及やデジタル変革(DX)の潮流と相まって世界的にノーコードが脚光を浴びている。

一方でノーコード開発と同じ文脈で、アプリ連携や拡張性を備えた「ローコード開発」も注目され、ノーコードとローコードを一括りで扱われることも多い。だが、利用対象と用途は異なる。コード(プログラム)の記述が一切不要なのがノーコードであり、主役は自らの業務を熟知し、現場で働く人たちだ。

ノーコード推進協会(NCPA)の設立メンバーと活動計画

IT人材の不足は20年以上にわたり叫ばれてきた社会課題だが、一向に改善できていない。青野氏は「デジタル人材の絶対数が少なく、しかも多くはIT事業者側にいる。このため開発を外部に丸投げするしかない」と日本固有の事情について言及。ノーコードが普及すれば現場からアプリが生まれることから「中小企業にとって即効性があり、これこそが日本型DXだ」と指摘する。

ノーコード普及のエバンジェリスト(伝道師)を担う中山氏は「日本はこれからノーコードの全盛時代に突入する。ノーコード思考の普及によって、日本のソフトウエア文化を変革したい」とNCPAの役割について熱弁を振るう。

DX対応に苦慮する中小企業や地方企業など、ノーコードを必要とするユーザーにその効果をどう分かりやすく届けるかかが今後のカギとなりそうだ。