東京工業大学の波多野睦子教授らは矢崎総業と共同で、高精度ダイヤモンド量子センサーを開発し、電気自動車(EV)用電池の充電率を推定する誤差を約0・1%とこれまでの100分の1程度に下げることに成功した。電池の充放電電流を広い電流範囲で、従来型センサーの約100倍の精度で計測できる。電池の高信頼制御に必要な電流と温度の同時計測も実現した。電池容量を無駄なく使えるようになるため、EVの搭載電池容量削減や軽量化につながる。

開発した量子センサーは、マイナス1000―1000アンペアの電流を10ミリアンペアの精度で計測可能。急速充電器や全固体電池などによる大電力化にも対応できる。また、マイナス40―85度Cで動作を確認した。

実際にEV用電池の充放電計測に適用し、燃費試験の国際標準における走行モードにおける想定電流範囲や変化パターンを精度10ミリアンペアで計測できた。

人工ダイヤモンド単結晶をベースに、窒素―空孔複合欠陥(NVセンタ)を含むダイヤモンドを作製。NVセンタの電流に伴う磁場変化をスピンの共鳴周波数として蛍光強度変化から読み取る。

小型化し、光ファイバー先端に取り付けた約2ミリメートル角のセンサーヘッドで検知できる。差動型にして環境ノイズも低減した。

現状のホール式などのセンサーでは充電率の推定誤差が約10%と大きいため、過充電などによる発火や劣化を防ぐ安全マージンを広く取る必要があり、電池利用可能領域が少ない。推定誤差を1%以下にすれば、電池搭載量を10%程度減らせる。

研究グループの試算によると、これにより2030年の運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出を1400万トン、総量の0・2%減らせるという。