産業技術総合研究所の篠崎健二主任研究員とリュウ・レイ特別研究員は、ニッケルナノ粒子(ナノは10億分の1)でガラスの破壊靱(じん)性を約3倍向上させることに成功した。直径100ナノメートルのニッケルナノ粒子を0・5%ほど分散させると亀裂の成長を抑える効果が大きかった。従来の強化法が難しいガラス材料に適用できる。

微小な金属ナノ粒子が亀裂先端の応力を散逸させて亀裂が成長することを抑える。この強化原理を実現するために、ガラスへニッケルを取り込ませて熱処理することでナノ粒子の大きさを制御する。

まずガラスのナノ粒子をニッケル水溶液に分散させて脱水乾燥させる。この粉末を水素雰囲気で2時間熱処理する。これを1100度C、30メガパスカル(メガは100万)で10分間焼結した。熱処理の温度でニッケルナノ粒子のサイズを調整した。

すると粒径100ナノメートル付近で添加しないガラスに比べて破壊靱性が3倍ほど向上した。粒径が小さいとニッケルナノ粒子の延性が低くなり、粒径が大き過ぎるとニッケルナノ粒子とガラスの界面の破壊が大きくなるため効果が下がる。

材料内部の応力を利用する従来の強化法はガラス材料の加工が難しくなる。

新手法は破壊の原因となる引張応力が存在せず加工が容易にできるという。

詳細は日本セラミックス協会が14日から徳島大学の常三島キャンパスとオンラインで開催する「第35回秋季シンポジウム」で公表する。