日中両国の国交正常化から29日でちょうど50年。この間、中国経済の急成長に伴い、日本の完成車メーカー各社は現地生産を拡大。併せて中国から周辺国への部品の輸出拠点としての機能も磨き、経済的な相互依存を深めた。脱炭素に向け中国は電気自動車(EV)市場として存在感を高める一方、米国との対立が表面化。日中関係への影響が懸念され、日本の自動車産業は中国との新たな関わりを模索している。(西沢亮)

「ホンダの70年を越える独創のDNAと、最先端を走る中国の電動化、知能化技術を融合する」。ホンダの井上勝史常務執行役員は4月、中国主導で新たに開発したEVにこう意気込みを示した。

ホンダは世界初となるEV専用ブランドを中国で立ち上げ、同国で初めてホンダブランドのEVとして「H」のロゴを付けるなど力を入れる。国際エネルギー機関(IEA)によると2021年の中国のEV販売は前年比2・9倍の330万台に拡大。中国は世界最大の自動車市場から世界最大のEV市場として発展し、異業種を含めて先端技術を競う市場へと変貌を遂げる。

歴史を振り返ると、中国と日本の自動産業の関係が乗用車を中心に深まったのが00年前後。ホンダは1998年に広州汽車と合弁会社を設立し、99年からセダン「アコード」の生産を開始。トヨタ自動車は02年に天津汽車との合弁で小型車「ヴィオス」、日産自動車は03年に東風汽車との合弁でセダン「サニー」の現地生産をそれぞれ始めた。日産のカルロス・ゴーン元会長(当時社長)は02年、東風汽車との提携発表で「中国はこれから開拓する市場。東風と中国市場で日産のプレゼンスを高めていく決意」とコメントしている。

日系完成車メーカー各社はその後、中国事業を加速。アフターサービスを含め高い信頼性、品質、耐久性などが受け入れられ販売を伸ばした。トヨタ、日産、ホンダ3社合計の21年の中国生産台数は約460万台、販売は約500万台。3社合計の世界生産と販売の約3割を占めた。

日系完成車メーカーは中国で部品調達も拡大。日本の部品メーカーも中国で相次ぎ工場を立ち上げ各社のモノづくりを支えた。一方、車各社は中国の部品メーカーとの取引も広げ、生産量を生かした競争力の高いサプライチェーン(供給網)を構築。日本やアジアへの部品の輸出拠点としての機能も磨き上げた。財務省によると、中国から日本への車部品の21年の輸入額は04年と比べ6・5倍の約3200億円にまで拡大した。

一方、世界第2位の経済大国となった中国は米国との対立が激化。中国に対抗する経済圏を米国中心につくる動きも本格化する。産業界からは「米中でデカップリング(分断)になった時に、サプライチェーンをどうしていくかは地政学的な課題でもある。それを考える時期に間違いなくきている」との声も聞かれる。

また部品メーカー幹部は「車メーカーが生産性に優れる日本への部品の生産回帰を軸に、国際情勢のリスクを分散する動きが出ている」と指摘。日中の自動車産業は新たな局面を迎えている。


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