クボタが働き方改革を加速している。コアタイムのない「スーパーフレックス」勤務制度を一部事業所で導入したほか、大胆なオフィス改革も進める。コロナ禍で出社率が低下し、働く場所や時間にとらわれない働き方が浸透する中、「来たくなる」オフィスの創造でコミュニケーションの活性化を狙う。(大阪・大川藍)

オフィススペースは役員以外の固定席をなくし、緑を置き気軽に立ち寄れる打ち合わせ席を多く設けた

コロナ禍で在宅勤務が日常的な光景となり、働き方は一変した。一方、出社機会の低下によるコミュニケーション不全を嘆く声も少なくない。農業機械国内トップシェアのクボタもそんな1社だ。

同社の本社阪神事務所(兵庫県尼崎市)が従業員を対象に2021年11月に行ったアンケートでは、エンゲージメント(貢献意欲)スコアが48%と、国内製造業平均を18ポイント下回った。同社は社員同士のコミュニケーション機会の減少が要因の一つだと分析する。

従業員の働きがいを高め、コミュニケーションを向上するにはどうすればいいか―。クボタが選択したのは、働き方の選択肢を増やし、人が集まるオフィスを作ることだった。一見矛盾するかに見える両者だが、「出社を強制できない中、来たくなるオフィスを作ることで出社率を高める」(本社阪神事務所の岩本憲昭業務課長)ことを狙う。

5月には大阪本社(大阪市浪速区)と東京本社(東京都中央区)でスーパーフレックス制度を導入。全員が同じ時間帯に勤務するコアタイムを設けず、在宅勤務も自由に選べるようにした。また遠隔地勤務制度も取り入れ、単身赴任の解消に乗り出したほか、工場勤務者全員に社用スマートフォンを配布するなど、制度改革やデジタル変革(DX)を次々に進める。

エントランスにリラックスできる空間を演出した

同時に、働く場所を自由に選べる「アクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)」の考え方を取り入れたオフィス改革にも着手。東京本社に続き、本社阪神事務所のオフィスフロアを全面リニューアルした。事務所のエントランスに有名コーヒー店のコーヒー自動抽出機を設置し、リラックスできる空間を演出。オフィススペースは役員以外の固定席をなくし、気軽に立ち寄れる打ち合わせ席を多く設けた。

阪神事務所の元持弘二所長は「出社と在宅勤務が混在する中、必要なときに必要なメンバーとディスカッションでき、成果を出せる場所にしたい」とオフィス改革の意義を強調。ただ、制度や場所を整えるだけでは限界があり、利用者の意識改革が不可欠とも指摘する。今後はオフィスの使い方や生産性向上についてのワークショップ(参加型講習会)を開き、社員主体の改革を促す方針だ。