日立パワーデバイス(茨城県日立市、奈良孝社長)は、2026年度までに炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産能力を現状比3倍程度に引き上げる。自動車や電力系統向けの需要増に対応する。量産委託先工場の能力増強や臨海工場(同)の前工程における開発用設備などに数百億円を投じる。新しい生産設備で25年度後半に「TED―MOS」と呼ぶ独自構造の次世代品や開発中の次々世代品の量産を始める。

日立パワーデバイスは現在、主に鉄道向けのSiCパワー半導体を前工程は臨海工場で、後工程は山梨工場(山梨県中央市)で生産している。新たに自動車や電力系統向け製品を量産するため、開発設備と能力増強の投資を決めた。

25年度後半に量産を始める「TED―MOS」は、日立の独自構造を持つ金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)。SiCパワーデバイスの課題とされる耐久性と低消費電力特性を向上したのが特徴で、21年にサンプル出荷を始めた。さらに高性能な次々世代品も25年度の量産開始に間に合わせたい考えで、23年のサンプル出荷開始に向けて開発を急いでいる。いずれも今回投資する生産設備で量産できる。

SiCパワー半導体は価格がシリコン(Si)製品の約3倍ともいわれ、普及に向けてはコスト低減が課題となる。日立パワーデバイスが開発中の次々世代品では基板の製造方法やSiC結晶層をつくるエピタキシャル工程の工夫で、Si製品価格の2倍以下に収まる価格帯を目指している。