半導体需要の減速影響が製造装置分野に波及してきた。半導体業界の国際団体SEMIによるとウエハーに回路を形成する前工程の製造装置への2022年の世界投資額が前年度比9%増の990億ドル(約14兆3000億円)になる見通しだ。3年連続で過去最高を更新するのは6月時点の従来予想と変わらないが、投資額を100億ドル下方修正した。韓国向けの投資が前年比マイナスに転じる影響が大きい。DRAMなどメモリー需要の減速を受けて半導体メーカーが設備投資を絞り込み始めたことが背景にあるとみられる。(山田邦和)

韓国向け投資額の見通しは同5・5%減の222億ドルで3年ぶりの前年割れ。6月時点では255億ドルで同7%増と、プラスを維持するとみていた。地域別で韓国を上回り、首位になった台湾は同47%増の300億ドル。従来予想は340億ドルだった。3位の中国は同11・7%減の220億ドル(従来予想は同14%減の170億ドル)と10年ぶりの前年割れだ。

半導体需要が急減速し、18年以来の下降局面に入ってきたことが韓国や台湾の下方修正に影響している。パソコンなどの巣ごもり需要の一巡と前後して中国・上海市がロックダウン(都市封鎖)を実施。物流の混乱などで、中国経済の減速が加速。世界的なインフレ圧力も顕在化し、半導体需要の先行き不透明感が強まった。

パソコンやスマートフォン(スマホ)などでデータの一時保存に使うDRAMは供給過剰感が急速に高まった。在庫が積み上がり、6月の大口取引価格は前月より約1割値下がりして、約1年半ぶりの安値となった。主要な半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)が発表した7月の半導体の世界出荷額は32カ月ぶりに前年同月を下回った。

メモリーを手がける韓国のサムスン電子は市況と関係なく投資を継続する方針を崩していないが、今後、半導体メーカーやファウンドリーの設備投資意欲の減退は避けられないとの見方も増えている。半導体装置関連の投資の約8割を占める前工程装置への影響も拡大する見通しだ。

今回、SEMIは23年の見通しも発表。22年比約3%現の9700億ドルと、4年ぶりの前年割れを想定した。従来予想は横這いの1090億ドルだった。

製造装置メーカーの間でも先行きについて慎重な見方が強まっている。東京エレクトロンの河合利樹社長は23年の世界の前工程向け装置販売について、5月時点では「プラス成長を期待できる」と話していたが、8月の決算説明会では「現段階での予想は時期尚早」と述べるにとどめた。


【関連記事】 好調電子部品の受注は失速するのか?