トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社が、円安効果と費用増・減産影響のはざまに立っている。2023年3月期の連結業績予想は4社が売上高を上方修正したが、営業利益は4社ともに据え置いた。円安は各社の業績を押し上げるが、生産変動とエネルギーや物流費、資材費の高騰で打ち消され、メリットを受けきれていない。すでに進みつつあるコスト上昇分の製品価格転嫁や原価低減活動の継続が、今後のテーマだ。

売上高を上方修正したのは、デンソー、アイシン、ジェイテクト、豊田合成。コロナ禍の影響が大きかった前期と比較して「販売は回復傾向」(ジェイテクトの佐藤和弘社長)という要素もあるが、急激に進む為替の円安傾向を織り込んだことが主な要因だ。

売上高は堅調だが、実態は自動車メーカーの減産やコスト上昇が響く。愛知製鋼は販売減を予想。トヨタ紡織は減産にロシア事業撤退費用も織り込み、それぞれ売上高を下方修正した。アイシンの伊藤慎太郎副社長は「生産レベルは非常に高いが、半導体不足で頭を押さえられているのが実感」と漏らす。

各社の苦しい事情は営業利益予想にも表れる。予想を据え置いた豊田自動織機も含め5社が見通しを変えず、トヨタ紡織は7月予想比で180億円下方修正した。こうした状況は下期も続く見通し。デンソーの松井靖経営役員は「下期は当初生産計画に対し10%ほど下振れリスクを織り込んでいる」と明かす。

一方で製品への価格転嫁は着実に進んでいる。各社の主要顧客であるトヨタは資材やエネルギー費などコスト上昇分を負担する方針。愛知製鋼の藤岡高広社長は「上期は目標通り転嫁できた」と話し、営業利益予想を4月予想比で20億円上方修正した。下期に向けても「前向きな話ができている」とする。アイシンは交渉分のうち半分程度のめどが付いたという。各社は自社の取引先への還元も視野に入れながら、地道な交渉を続ける構えだ。


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