技術者派遣大手のフォーラムエンジニアリングは、初の海外事業を本格化する。10月にインドで立ち上げた現地子会社「コグナビ・インディア」がインドの大手私立大学であるSRM大学を中心としたグループの海外子会社であるSRMグローバル・コンサルティング(以下「SRMグローバル」)とクレスコ(東京都港区)の出資を受け入れると発表した。23年1月以降に両社などを引受先とした第三者割当増資を実施する。増資総額は11.5億ルピー(約20億円)。

フォーラムエンジニアリングは「コグナビ」の名称で、機械電機系エンジニアと製造業者をマッチングする新卒採用・転職サイトなどを手がける。人工知能(AI)を活用して製造現場が求める技術要件や機電系エンジニアのスキルなどを可視化し、高精度にマッチングする。この技術を生かしてインドで機電系エンジニア専門の新卒・転職サイトを立ち上げる。

フォーラムエンジニアリング常務取締役でコグナビ・インディア社長の秋山輝之氏にインド進出を決めた背景と今後の展望を聞いた。

−なぜインド進出を決めたのですか。
 日本の人口が減少する中で、新たな成長戦略としてインド市場に注目しました。インドはこれまでIT産業をけん引役に、急激な経済成長を遂げてきました。一方、インド政府は14年から製造業の成長を通じて経済成長や雇用拡大を図る「Make In India」を推し進めています。そこで、機電系エンジニアのスキルを可視化し、製造業の人材需要と高い精度でマッチングする我々の技術が生かせると考えました。実際に現地にそうした技術はなく、高い関心を得ています。

フォーラムエンジニアリングの秋山常務

−SRMグローバルの出資を受け入れる狙いは。
 SRMグローバルは、SRM大学の理事長が新たに設立する海外事業子会社です。SRM大学は5万2000人の学生が在籍しており、理工系卒業生は毎年5000人に上ります。日本全体の理工系卒業生が4万人程度ですから、世界有数のエンジニア育成機関と言えます。

インドの上位大学の特徴として、理工系卒業生の60%以上がIT産業に就職する現状があります。年収のよさなどを要因として、成績上位の学生はほとんどがIT企業に就職します。一方、足元では世界で製造業の高度化が進んでいます。特に電気自動車(EV)シフトやIoT(モノのインターネット)、グリーンエネルギーをテーマとした技術開発は、緊急度が増しており、ソフトウエアの素養があるインドの学生がグローバルな製造業で活躍する機会が増えつつあります。

タミルナドゥ州チェンナイに本拠地を持つSRM大学。日系はじめ海外企業との共同研究も多い

これらを背景にSRMグループは大手製造業との共同授業やインターンを拡大しています。我々も理工系学生に製造業への就職を促す講義を日本の110以上の大学で実施しています。日本とインドの知見を共有し、全インドの優秀な理工系学生が製造業でエンジニアとして働くためのエコシステムを構築しようと、SMRグループと合意しました。

我々としてはSRMグループと連携することで市場へのローカライゼーションのほか、学生や採用企業との接点の早期獲得が期待できます。

−今後の取り組みは。
 23年中にSRM大学グループを対象とした新卒採用サイトの試験版を構築し、運用を始めます。24年からは他大学の学生の登録も始め、まずはSRMグループの本拠地があるタミルナドゥ州の上位校の学生が登録するデータベースを目指します。今回の資本参加でフォーラムエンジニアリングのコグナビ・インディアへの出資比率は75%に下がりますが、今後もSRMグループをはじめとするインド資本の参加比率を高め、インドの成長に貢献する事業に育てていきます。その上で、日本とインドで生み出したサービスをグローバルにも展開したいと考えています。