パワーダイヤモンドシステムズ(東京都新宿区、藤嶌辰也社長)は、ダイヤモンドパワー半導体を事業化する。ダイヤモンドと窒化ガリウム(GaN)などを組み合わせると電源回路を大幅に小型化できる。既存のパワー半導体を補完し、設計の幅を広げる。2025年に1アンペア、600ボルト、1メガヘルツ(メガは100万)の試作品を作り、直流を交流に変換するインバーター回路を実用化していく。

早稲田大学の川原田洋教授らが開発した技術を事業化する。事業化に当たり早稲田大学ベンチャーズ(WUV、同新宿区)から1億円を調達した。開発環境は早大のクリーンルームを利用する。大学の半導体開発設備を使い、ファブレスで運営する。実用化できれば、産業機器や通信機器の省エネ化などに大きく貢献する見通しだ。WUVは3年間の集中投資で量産を検討できる段階まで技術力を引き上げ、出口戦略としてM&A(合併・買収)を目指す。

ダイヤモンド半導体はp型と呼ばれるホール(正孔)が流れるトランジスタを作れる。炭化ケイ素(SiC)やGaNは電子が流れるn型しか作れない。片方のトランジスタで構成する回路では、短絡を防ぐためにオンオフを切り替える猶予時間が必要だった。

p型とn型を組み合わせると短絡しないため、猶予時間を削減でき、高周波動作が可能になる。n型のみでは数百ボルトで10キロヘルツが限界だったが、両型では1メガヘルツと100倍高速化する。交流電流の波形が精緻になりフィルター回路を小型化できる。

早大の独自技術として縦型のp型トランジスタを実現した。縦型構造は電流密度を高められ、大電流化の必須技術。ダイヤモンドの炭素をケイ素とつなげて絶縁層を形成した。パワー半導体は既存の半導体製造装置を活用しコスト競争力を高めてきた。ケイ素接続で従来のシリコン半導体の技術基盤を利用しやすくなる。


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