政府は円安メリットを最大限に引き出すため、新たに輸出に乗り出す中小企業を後押しする。政府の総合経済対策に盛り込まれた支援策の一つで、外需を取り込むことで厳しい国内の収益を一定程度補う狙いだ。日本商工会議所・東京商工会議所は海外ビジネスの促進に向けた政府への提言をまとめており、中小企業が求める施策も参考に、今回の支援策を“肉付け”することが政府には求められる。(編集委員・神崎明子)

政府は円安・物価高への対応などを盛り込んだ総合経済対策を10月28日に閣議決定した。円安対応では、新規に輸出に取り組む中小企業1万社を支援する施策が盛られ、長引く円安を逆手にとった中小支援策を講じる。

中小企業は輸出に際して、現地の市場動向や法規制への対応、海外ビジネスに対応できる人材不足などを不安視している。総合経済対策では、専門家による伴走型支援や輸出商社との連携強化などを通じて、輸出向け商品開発や電子商取引(EC)サイト活用による販路開拓を後押ししていくという。 

政府は総合経済対策を裏付ける22年度第2次補正予算案の年内成立を目指している。中小企業の不安を解消しつつ、輸出を促す具体的な支援策に仕上げることが求められる。

日商・東商は10月20日、中小企業の海外ビジネス促進に必要な環境整備を求めた政府への提言をまとめている。第1は情報提供の拡充。各国・地域における業界別の市場規模や競合の状況、法制・流通の仕組み、各省庁や関係機関が提供している支援施策、これまで企業が海外で直面したトラブル・対応事例などの情報提供を求める。第2は海外販路の開拓に向け、越境ECの活用とECサイトへの出店・運営費用への助成拡充を要望する。

第3は、海外ビジネスの基礎から実践まで体系的に習得できる教育プログラムの提供などを求めている。このほか、現地規制への対応について、中小企業が海外で日本語による相談ができる仕組みが必要だとしている。

政府および関係機関はこうした要望に丁寧に対応し、中小企業の輸出を促したい。

2022年版中小企業白書によると、中小企業による19年度の売上高輸出比率は3・2%に過ぎない。だが人口減に伴って国内市場の縮小が懸念される中、中小企業も海外で“稼ぐ力”を培うことが求められる。国際通貨基金(IMF)によると、「アジアの新興市場国と発展途上国」の23年の実質成長率は4・9%の見通しだ。中小企業はこうした外需を取り込み、収益基盤の強靱(きょうじん)化につなげたい。