みずほ証券が海洋保護や水に関わる事業資金を調達する債券のブルーボンドに力を入れている。マルハニチロが国内初のブルーボンドを発行し、みずほ証券が主幹事とファイナンスの実行支援を行うストラクチャリング・エージェント(SA)を務めた。起債環境が不透明な中でも国内でSDGs(国連の持続可能な開発目標)債の発行は順調に伸びている。ブルーボンド第1号をサポートした実績を基にSDGs債の取り扱い拡大につなげたい考えだ。(編集委員・川口哲郎)

マルハニチロが起債したブルーボンドは10月27日に条件決定した。利率は0・55%となり、発行額50億円に対して1・2倍の60億円超が集まった。販売先は生命保険、損害保険、地方銀行などで、投資表明件数は18件だった。

米国をはじめとした各国中銀の利上げが相次ぎ、景気後退の懸念も高まる中で、金利環境の不透明感は強まっている。それでも「国内初のブルーボンドの発行や、食品セクターであることなどネームの高さを好感した投資家の需要を獲得した」と、みずほ証券サステナビリティ推進部の五十田昇吾アシスタントヴァイスプレジデントは手応えを語る。

ブルーボンドは、温暖化ガス排出削減や気候変動への適応といったプロジェクトに資金を供給するグリーンボンドの一種だ。資金使途をさらに海洋・水に関する事業に特定したのがブルーボンドとされる。

ブルーボンドのガイドラインは複数存在しているが、年内にも統一的な指針が公表される予定だ。国際金融公社(IFC)やサステナブル・ファイナンスの標準化を担う国際資本市場協会(ICMA)など5団体がブルーボンドの実務ガイダンスをとりまとめる。実務の指針が示されることで、ブルーボンドを組成する環境が整う。ブルーボンド発行の広がりについて、五十田氏は「金額は大きくならないが、件数は増えていく」と予想する。

IFCが1月に公表したガイドラインでは、下水道や排水処理施設、陸上養殖など淡水に関する事業や洋上風力発電もブルーファイナンスの資金使途例とされた。生分解性素材、生分解性バイオマスプラスチックも含まれ、日本企業が強みを持つ分野も多い。洪水や干ばつなど世界で多発する自然災害への対応も対象となり、内外でブルーボンドに注目が集まり始めている。

マルハニチロの資金使途は水産資源の保護という会社全体の取り組みを具現化したプロジェクトだ。企業がブルーボンドを発行するメリットについて、五十田氏は「戦略と資金使途の両方をアピールできる」とみる。

みずほ証券はサステナブル・ファイナンスのフレームワーク策定や第三者評価取得など全体をサポートするSAの就任件数が20年度から2カ年連続首位で、22年度も10月まで首位を走る。本邦初の案件を輩出してきた実績もある。香月康伸SDGsプライマリーアナリストは「21年頃から次はブルーが来ると注目し、関係する発行体企業に事前に情報を伝えていた」と明かす。

みずほ証券は国内のSDGs債発行が22年度に21年度比約1・7倍の5兆円と予想する。ブルーボンドをはじめ、マーケットの潮流に合わせた案件を構築することで、サステナブル・ファイナンスを先導する構えだ。