11月8日から13日までの6日間、東京ビッグサイトで4年ぶりのリアル開催となる日本国際工作機械見本市・JIMTOFが行われます。さまざまな工作機械、機械工具、機械部品などが展示され、国内外から来場者が集まります。今回はJIMTOFに合わせ、マシニングセンタに関わる書籍『トコトンやさしいマシニングセンタの本』から抜粋して紹介します。

マシニングセンタの種類は大別して「立て形、横形、門形」の3つがあります。この中で「立て形と横形」は1本のコラムが主軸頭を支える「シングルコラム構造(オープン形)」です。一方、「門形」は門形の枠の部分が「コラム」になり、2本のコラムが主軸頭を支える「門形構造(ダブルコラム構造)」です(図1)。

図1 マシニングセンタの構造の種類
切削時に発生する切削抵抗(力)が本体構造に伝わる流れる確認すると、シングルコラム構造では力の流れが単純な連鎖であるのに対し、門形構造では力の流れが複数の閉回路となり、力が分散されることがわかります。この力の流れを「ストレスパス(応力経路)」といいます(図2)。

図2 シングルコラム構造と門形(ダブルコラム)構造のストレスの流れ

ストレスパスは長くなるほど各部の弾性変形が累積され運動誤差を生じやすく、モーメント(曲げる力)が大きくなるため剛性的に不利です。換言すれば、ストレスパスを短くすることで、切削抵抗に対する変形が小さく振動も抑制でき、加工精度に対する安定性を高めることができます。このため、シングルコラム構造では、できる限り「ストレスパス」が短くなるように設計することが重要で、ストレスパスの長短が剛性評価の1つとなります(図3)。なお、ばねやゴムように力を加えると変形するが、力を取り除くと元の形に戻ることを「弾性」といい、弾性によって生じる変形量を「弾性変形」といいます。

図3 横形マシニングセンタのストレスパス

横軸マシニングセンタではストレスパスの分散を目的として「門形構造」を採用している例もあります。従来、門形構造は大きな切削抵抗が作用する大型のマシニングセンタのみで採用されてきましたが、ストレスパスの分散という観点から小型のマシニングセンタでも積極的に採用されるようになりました。ただし、門形構造は主軸頭を最も下降した(テーブルに近づけた)場合、「振り子」のような構造になるため、コラムには大きなモーメント(曲げる力)が作用する欠点があります。また、熱膨張は機械の大きさに比例するため門形構造の熱変位誤差は比較的大きいです。

(「トコトンやさしいマシニングセンタの本」p.66-67より抜粋)

<販売サイト>
Amazon
Rakuten ブックス
日刊工業新聞ブックストア

<書籍紹介>
マシニングセンタ(MC)は、機械加工現場で活躍する工作機械の1つで、自動車や機械、電機業界などで広く使用されている。本書は、MCが私たちの生活をどれだけ便利にしてくれているのか、MCで何をつくることができるのかといったところから話を始め、MCをより身近に理解できるように、イラスト、写真、図表を使ってわかりやすく解説する。
書名:トコトンやさしいマシニングセンタの本
著者名:澤武一
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,540円

<著者>
澤武一(さわ たけかず)
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授
博士(工学)、テックマイスター、ものづくりマイスター
1級技能士(機械加工職種、機械保全職種)

<目次(一部抜粋)>
第1章 マシニングセンタと私たちの生活
第2章 NC工作機械の進展
第3章 マシニングセンタの種類と機械的なしくみ
第4章 マシニングセンタを動かすソフトウエア
第5章 高速・高精度を支える要素技術
第6章 これだけは知っておきたい基礎知識


【関連記事】 工作機械の再編劇、次はどこで起こる?