東京都が臨海部で進める「東京ベイeSGプロジェクト」。最先端技術の集積と自然環境との調和を通じ、競争力強化につなげる都市構想が動き出す。次世代モビリティーや再生可能エネルギーなど最先端技術の実用化を目指す9件の先行事業をこのほど採択。技術確立や社会受容性に向けた検証が繰り広げられることになる。(編集委員・神崎明子)

プロジェクトの舞台は東京湾に浮かぶ広大な埋め立て地。土地の利活用が可能なエリアだけで2万平方メートルに上るというスケール感や都心に隣接する利便性を生かした民間企業のダイナミックな実証事業を都が後押し。技術やサービスの早期実用化を促し、50年、100年先を見据えた次代の街づくりに反映する狙いだ。

KDDIスマートドローンが計画するのは世界初の「水空合体ドローン」の試験飛行。水中や地上構造物の監視や点検への活用を目指す。NTTコミュニケーションズは国内初となるドローンによる200キログラムの重量輸送を実施する。再生可能エネルギー分野では、三井住友建設や東急不動産が洋上浮体式太陽光発電技術を検証。風力発電では風車を扱うスタートアップ、チャレナジー(東京都墨田区)が可搬式、三鷹光器(東京都三鷹市)は多段積載式システムの確立をそれぞれ目指す。

制御技術を核とした自動化製品を開発するスタートアップ、炎重工(岩手県滝沢市)は海洋ゴミを清掃するロボット船と自動運転や自動充電を実現する高機能桟橋を開発。これを連動させる運用技術を確立する計画だ。

先行事業の実施期間は2024年度末まで。都はこれら企業に実証フィールドを提供するだけでなく、規制面での対応など国や関係機関との調整も担う。小池百合子知事は「ベイエリアからさまざまなイノベーションを生み出していく取り組みを通じ、世界の都市が抱える課題解決策を東京から発信していきたい」と話している。