製薬8社の2023年3月期連結業績予想は全社が増収を見込む。急激な円安の進行を主な理由に、大正製薬ホールディングスを除く7社が3月期予想の売上高を上方修正した。10日までに出そろった22年4―9月期も各社の主力製品の販売が伸び、7社が増収と総じて好調だった。円安でグローバル製品の勢いが目立ち、先細りする国内事業が浮き彫りになった格好だ。

アステラス製薬は主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」が米国で発売10年を超え、成熟市場に移行。一方で、欧州での販売が好調なうえ、アジアなどでも伸びを期待し「グローバルでは2ケタ近い成長率を見込む」(安川健司社長)。

小野薬品工業はがん免疫治療薬「オプジーボ」や慢性疾患治療薬「フォシーガ」の販売が好調。4―9月期はフォシーガの「糖尿病向けの需要が堅調に推移したことに加え、慢性心不全と慢性腎臓病向けも拡大した」(相良暁社長)。米国などグローバル事業の強化に向け、投資も積極的に行っている。

海外売上比率が約8割の武田薬品工業は国内売り上げが年々減少傾向だ。エーザイは21年4―9月期に米企業との戦略的提携による契約一時金を計上した影響で減収減益となるも、グローバル品の販売が伸長。住友ファーマは米国で販売するパーキンソン病治療薬「キンモビ」の低迷を受け、特許権などを全額減損したことにより赤字に転落した。

薬価引き下げなどを背景に国内市場が縮小する中、新型コロナウイルス関連は需要が堅調だ。大正製薬HDはのど飴や風邪薬などの販売が伸び、検査キットも月内に発売予定。第一三共は第3相臨床試験が進むワクチンの実用化を急ぐ。塩野義製薬も年内にワクチンの申請を目指すほか、飲み薬の承認判断も控えており、3月期にこれらで1100億円の国内売り上げを見込んでいる。