事務機器(OA)5社の2023年3月期(キヤノンは22年12月期)連結業績予想が10日出そろい、全社が売上高を上方修正した。為替の円安進行や、原材料高の製品販売価格への転嫁などが寄与する。足元では欧米などでオフィスへの出社率が高まるとともに印刷量も回復傾向を示しているとの見方があり、当面は一定の需要が期待できそうだ。一方で部品や半導体の不足は完全には解消しておらず、予断を許さない状況が続く。

キヤノンは22年12月期の売上高と営業利益を従来予想から引き上げた。円安に加え、部材不足緩和によるオフィス複合機などの供給量拡大、価格改定などが寄与する。御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)は「基本的に円安によって失うものはない」と歓迎の姿勢を示した。

リコーは23年3月期の売上高を上方修正したが、供給網のリスクを考慮し、営業利益を下方修正した。山下良則社長は今後について「情報通信技術(ICT)商材に依存しない販売体質への転換加速や、買収したPFU(石川県かほく市)とのシナジー実現、受注残の解消や在庫低減に努める」と述べた。主要国では出社率が高まっており、印刷量の回復は当面見込めるとしている。

セイコーエプソンは部材の供給制約の改善遅れによるプリンターの販売数量の下方修正などを織り込む一方、円安を踏まえ、23年3月期の売上高や営業利益を上方修正した。

コニカミノルタの22年4―9月期連結決算は営業赤字だった。ヘルスケア事業の赤字幅拡大が響いた。23年3月期は円安や受注残の解消見込みを勘案し、連結売上高予想を上方修正した。ただ大幸利充社長は「オフィス出社率の回復に見合う紙の出力が戻っていない。デジタル活用の働き方が確実に浸透している」と分析しており、こうした傾向が中長期的に加速する可能性もありそうだ。

富士フイルムビジネスイノベーション(BI)は、22年4―9月期が増収営業増益だった。製品供給が回復し、欧米向けの輸出を中心に複合機や消耗品の売り上げが増加。富士フイルムホールディングス(HD)の後藤禎一社長は「(23年3月期の)下期も、今の状況をある程度維持するだろう」と語った。