国内製薬最大手の武田薬品工業は2019年にアイルランドのシャイアーを6兆円超で買収するなど規模拡大を追求し、世界の製薬企業の売上高ランキングでトップ10に食い込んだ。クリストフ・ウェバー社長最高経営責任者(CEO)がグローバル化を急速に進めた結果である。

21年に創業240周年を迎えた武田薬品は江戸時代から続く老舗企業だ。最後の創業家出身の社長である武田國男氏は在任当時、「医薬品市場1位の米国で生きていく」と語り、日本初のメガファーマへの脱皮を前長谷川閑史社長に託した。長谷川氏は08年、11年と海外案件の買収を手がけこれを着実に実行。さらに強力なリーダーシップ体制を敷くため次期社長を外部からスカウトした。

その人物が、14年、47歳の時に招聘された当時英グラクソ・スミスクラインの上級幹部だったウェバー氏だ。ウェバー氏は同年に社長、15年にCEOに就いた。初の外国人トップながら、創業時から続く同社の「誠実・公正・正直・忍耐」の価値観(タケダイズム)を受け継ぎ、東京に本社を置き続けるなど日本を重視。一方で主要機能は米国に移し、今や実質的に米国企業となった。海外売上比率は8割、日本人従業員は1割にとどまる。

そのウェバー氏も23年に就任10年目を迎える。同氏はかねてより「25年ごろに退任する」との意向を示しており、後継者は「外部でもよいが、やはり内部から登用することが重要」と語っている。それが日本人か外国人かはもはや重要な問題ではないだろう。

2月に三つのグローバル組織を統括するラモナ・セケイラ氏が米国研究製薬工業協会の会長に就き、社内外の注目度が急上昇。次期社長候補の一人に挙がる。一方、ウェバー氏も40代で就任したことから、エグゼクティブチームの古田未来乃ジャパンファーマビジネスユニットプレジデントや、佐藤弘毅コーポレートストラテジーオフィサーにバトンを渡す可能性もある。