ホンダは、新型スポーツ多目的車(SUV)「ZR―V」を2023年4月21日に国内で発売する。ホンダが軽自動車と電気自動車(EV)を除く新型車を投入するのは、15年2月発売のミニバン「ジェイド」以来8年ぶりとなる。人気のSUV市場で、ホンダの存在感を高める契機となるか。(江上佑美子)

「自分らしさを解き放ちたいとの気持ちになる車を目指した」。ホンダが17日開いた説明会で、ZR―V開発責任者の小野修一氏はこう強調した。ノイズを抑えるなど快適性を追求し、女性でも運転しやすいよう視界や取り回しを工夫した。30代後半から40代をターゲットに据え、消費税込みの価格は294万9100円からに設定した。

ホンダはSUVにおいて、小型の「ヴェゼル」と中型の「CR―V」の2種類をグローバルモデルとして展開している。ZRーVはこの中間の大きさとなり、北米と中国では既に発売した。ユーザーの選択肢を広げることで、旺盛なSUV需要を取り込む狙いだ。

SUVの特徴は、荷室が大きく車高が高い点だ。スポーティーな外観や悪路でも走りやすい機能性も相まって人気は高まっている。日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、21年のSUV販売台数は18年比37・1%増の29万8053台と大きく伸び「勢いがある市場」(商品企画担当の古川博朗氏)だ。

一方でトヨタ自動車の「ヤリスクロス」「ライズ」など競合がひしめくカテゴリーとなっており、ホンダの調べでは国内のSUV市場におけるホンダのシェアは、直近5年間で18%から7%に減少した。ZR―Vについては「デザインと走りを強みに届ける」(同)とシェア奪還に挑む。

水を差すのが半導体などの部品不足だ。7月時点では、ホンダは11月に日本でZR―Vを発売予定だった。しかし部品不足が長期化する中、納車待ちが発生する他モデルの生産を優先するため延期を決めた。依然として不透明な状況を反映し、17日の説明会でも販売目標は示さなかった。予約は既に受け付けており、2万台を先行受注している。

ホンダは4輪車事業の体質改善が課題となっている。22年4―9月期連結決算の同事業の営業利益率は1・3%だった。25年にはグローバルモデルの派生数を18年比3分の1とする計画を掲げており、既に半分以下に削減した。こうした中で新たなグローバルモデルとしてZR―Vを投入した狙いについて、古川氏は「新しい顧客層をしっかり獲得するため」と説明する。


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