オルガノは2008年以来となる開発センター(相模原市南区)の新棟を完成させ、運用を始めた。不純物を取り除いた超純水よりも高純度な「次世代超純水」の開発を担う。超純水のユーザーである半導体産業は最先端を競っており、オルガノも極限の超純水を追求する。(編集委員・松木喬)

既存の棟に分散していた実験機器を集約した新棟

オルガノの開発センターは森に囲まれた敷地にある。建物よりも高い木々に隠れるように立つ既存4棟に続き、E棟とF棟の2棟を新設した。

E棟内部は水処理設備が稼働している。不純物を吸着する活性炭、微細な穴でイオンを除去する膜逆浸透(RO)膜、イオン除去に使った樹脂を電気で再生する同社独自のEDI(電気再生式脱イオン装置)など、水処理設備が一堂にそろう。

透明な水にも目では確認できない金属や有機物が混ざっている。各装置で除去し、完全なH2Oにした水が超純水だ。水道水1リットルの不純物は300ミリグラムだが、超純水になると1リットルで3ナノグラム(ナノは10億分の1)。開発センターの江口正浩副センター長は「磨きに磨いた水」と表現する。最後は水に残った微量の空気まで除いて仕上げる。

その超純水は主に半導体工場で洗浄水として使われる。最先端半導体は配線幅がナノメートル単位と狭く、洗浄水に残った不純物による品質への影響を防ぐためだ。トヨタ自動車やソニーグループなどの新会社が「ビヨンド2ナノ」と呼ばれる半導体製造を目指すように、超純水にも“次世代”が求められてきた。

E棟では各装置の順番や組み合わせを自在に設定し、半導体工場の要求に応じた次世代超純水の製法を開発する。その“レシピ”を基に超純水供給プラントを設計し、顧客工場に納品する。

ただ、不純物がナノレベルになると検出できずに評価が課題となる。「一般の分析機器では計れないので、我々が独自で計測できるようにした」(江口副センター長)と胸を張る。さらにサンプル検査にもノウハウがある。空気中の物質が混ざると正確な分析ができないため、クリーン度を保った特殊な容器で超純水を扱う。しかも、許された社員しか検査ができない。他にも配管の素材の溶出や水温維持も含め、蓄積した知見を駆使して顧客が求める水を追求する。

隣のF棟はリチウムイオン電池(LiB)などの製造に使う有機溶剤の純度を高める分離精製技術を研究する。既存の棟に分散していた実験機器を集約、開発を加速できる。

半導体やLiB、バイオ医薬など、超純水や有機溶剤を必要とする産業は技術革新が速く、オルガノも顧客ニーズを先回りした開発を目指す。21年3月期に1000億円を突破した売上高は、23年3月には1400億円に到達する見込みだ。急激な成長を支えるためにも技術開発の重要度が増している。


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