エンジン不正問題に揺れる日野自動車が国内でのトラックの生産、販売の正常化に向けて一歩前進した。18日、燃費性能が基準に満たないとして3月に型式指定が取り消された大型トラック「プロフィア」の一部車両の型式指定を再申請。審査が順調に進めば23年1月にも型式指定を再取得できる見通しだ。今後は排出ガスの規制値超過で型式指定を取り消された大・中型トラック向けエンジン2機種の再取得の時期が焦点となる。早ければ中型で同年夏、大型で秋の取得が見込まれる。(石川雅基)

日野自が型式指定を再申請したのは大型トラック「プロフィア」のうち「A09Cエンジン」を搭載した車両。22年3月期に国内で販売したトラック、バスの台数の約15%に上る。自動車の量産・出荷に必要となる型式指定を再申請するのは国内初。国土交通省は再申請も、通常の申請と同じく「2カ月程度に設定されている標準処理期間中に審査する」方針を明かす。そのため、23年1月にも型式指定を再取得できる可能性がある。

日野自は、エンジン不正問題をめぐって国交省から求められていた「再発防止策」を10月7日に提出。型式指定の申請体制や不正を起こさないための組織風土改革などを盛り込んだ。その内容を実行し「準備が整ったため、再申請を行った」(日野自)。国交省幹部は「現段階で、再発防止策の進捗(しんちょく)状況に問題がないと判断し、申請を受理した」と話す。

今後焦点となるのは、22年3月期のトラック、バスの国内販売台数の20%強に当たる車両で取り消されている「エンジンの型式指定」の再取得の時期だ。型式指定を再申請するためには、排出ガスが規制値に適合するように改良した上で、大型エンジンで9カ月程度、中型エンジンで7カ月程度をかけて劣化耐久試験を行い、基準を満たしていることを確認する必要がある。

日野自によると「対象となる二つのエンジンの排出ガスが規制値に適合するように改良を進めている段階」だという。国交省は「エンジンの審査も通常と同様に行う」考え。改良、試験、審査が順調に進めば中型で23年夏、大型で同年秋にも型式指定を再取得できる見通しが立つ。

東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「(型式再申請が)想定より早く、業績はポジティブにみている。トラックの供給不足が深刻化する中で市場も好感を持てる」としつつ「(エンジン不正をめぐる訴訟や米司法省の調査を受ける)先進国市場は予断を許さない状況」と指摘する。