半導体市場の調整が化学各社の業績を下押ししている。パッケージングなど半導体製造の「後工程」用材料の販売が低迷し、昭和電工、住友ベークライトは通期の業績予想を下方修正した。前工程用の材料を手がける企業も先行きに警戒感を強める。半導体材料は業績をけん引する高収益事業の一つで市況の変動は各社の成長見通しを大きく左右するため、製品の需給動向が注視される。(大川諒介、梶原洵子)

2022年7―9月期以降、後工程用材料の需給軟化が顕在化した。昭和電工は半導体・電子材料部門の22年12月期業績予想について売上高を300億円、営業利益を150億円下方修正した。当初の見通しから一転し、前期比で営業減益を予想する。

同社は前後工程の多様な半導体材料を手がけるが、後工程用の落ち込みが大きいとした。染宮秀樹取締役常務執行役員は「8月から激しく悪化した。年内は悪い環境。顧客の声は分かれるが、23年度上期までの調整を想定したかじ取りが必要」との見解を示した。

住友ベークライトも半導体関連材料事業の通期売上収益見通しを下方修正した。封止材に関して「民生品向けを中心に需要が落ち込んだ。顧客在庫の関係で目先の需給改善は期待できず、10―12月以降もさほど回復はみていない」(倉知圭介取締役常務執行役員)という。三菱ガス化学も半導体パッケージ基板材料(BT材料)や薬液が弱含んで推移しており、23年3月期中の回復は難しいとみて通期業績予想の下方修正に織り込んだ。

一方、シリコンウエハーやウエハー上に回路形成する「前工程」用材料を手がける企業は先端半導体向けを中心に足元は堅調だ。富士フイルムホールディングス(HD)は「ハイエンド向けの材料は引き続き需要が旺盛だ」(後藤禎一社長兼CEO)とする。

ただ、信越化学工業の轟正彦取締役専務執行役員は「シリコンウエハーは総じて堅調な出荷が続いている」とするものの「23年前半は調整局面になる可能性がある」と指摘する。また、SUMCOの橋本真幸会長兼最高経営責任者(CEO)は需給動向から「顧客市場の調整期間は比較的短く、長くて1年程度になるだろう」との見解を示した。

JSRは先端半導体向けのフォトレジストなどが堅調だが「23年1―3月期の市況動向を注視している」(江本賢一取締役執行役員)と警戒感を強めている。住友化学は「先端品は下期も衰えないだろうが、汎用品はメモリー中心に需要減退を心配している」(岩田圭一社長)とした。

英調査会社オムディアは、世界市場における半導体製品の売上高が22年は前年比5・8%増だが、23年は同0・2%減のマイナス成長に転じると予想する。好調を維持する材料メーカーも、今後は市況の影響を受けそうだ。デバイス在庫調整の進展は不透明感が強く、底入れ時期を探るべく顧客企業への情報収集に注力する。化学各社は市況に応じた生産量の適正化など、判断材料が限られる中で柔軟な対応が求められる難しい局面にある。


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